日立、スイス重電大手のABBと提携拡大。ITとFAを融合

2015年05月12日 07:47

 日立製作所<6501>が、送電設備事業で提携しているスイス重電大手のABBと提携拡大に動いている。

 ABBが保有するFA(ファクトリーオートメーション)技術と、日立が研究開発を進めているIoT (モノのインターネット) 技術やビッグデータ分析技術を融合することで、新たな可能性が開けると期待されている。

 電力技術とオートメーション技術の発展に力を入れるABBは、世界約100カ国に14万人の従業員を擁している。工業生産性とエネルギーの効率化を向上させる製品とソリューションを提供している。ABBは世界中に17万5000台以上のロボットを販売してきた。

 同社は、4月中旬にドイツのハノーバーで開催された産業見本市「ハノーバー・メッセ2015」では、人と協調して生産活動をする製造ロボットを披露した。同社が念頭においているのは、IT技術によって進むスマート工場化だ。同社のウルリッヒ・シュピースホーファーCEOは「スマート工場が進化すれば、ロボットと人間のコラボレーション型の製造は増えていく」と語っている。

 ABBと日立との提携拡大の背景には、ABBのオートメーション技術やロボットに、日立のIT技術を組み込むことでスマート工場化を推進する狙いがあると見られる。

 ABBは、昨年9月に発表した新経営計画で大型M&A(合併・買収)に代えて、各分野の有力企業との提携を重視する方針を打ち出した。そして、昨年12月に、日立と高圧直流送電事業の合弁会社を設立することで合意、日本の電力インフラ改革での協力を進めてきた。日立会長兼CEOの中西宏明氏は「ABBとは広い範囲での協業を柔軟に検討していきたい」と語っていたが、両社それぞれの強みを生かして、さらに提携を拡大することになった。

 ドイツが「インダストリー4.0」を進めるなど、スマート工場化の波が押し寄せる中で、両社のFAとITの融合によって、いかなる技術が開化するか注目を集めつつある。(編集担当:久保田雄城)