14年度の国内のソーシャルギフト市場規模は前年度比 82.2%増の82億円に拡大

2015年08月19日 07:55

 ソーシャルギフトサービスとは、インターネットで購入したギフト(贈り物)を、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)やメッセンジャー、eメールなどを利用して通知し、贈るサービスを指す。矢野経済研究所では、国内のソーシャルギフト市場の調査を実施した。調査期間は2015年2月~6月、調査対象はソーシャルギフトサービス提供事業者、商品券・ギフト券/ギフトカード発行事業者。調査方法は同社専門研究員による直接面談、電話・e-mail によるヒアリング、ならびに文献調査を併用した。

 それによると、2014年度の国内のソーシャルギフト市場規模は、前年度比 82.2%増の82億円(発行金額ベース)まで拡大した。法人のインターネットを利用した販促キャンペーン(オンラインキャンペーン)におけるソーシャルギフト需要が大きく成長したほか、個人から個人へ贈るスモールギフトの進展により、市場は拡大したとしている。

 2014年に入り、ソーシャルギフトサービスへ新規参入する企業が相次いでいる。特に韓国系の企業が、自国で成功したビジネスモデルを日本でサービス展開する取組みが活発化しており、ソーシャルギフトの浸透に力を入れているという。韓国においては、日常的にソーシャルギフトを贈る文化が根付いており、ソーシャルギフト市場は堅調に拡大している。韓国系の新規参入企業は、日本市場への積極的な投資を行っており、日本におけるソーシャルギフト文化の浸透に注力している、分析している。

 また、ソーシャルギフトサービスでは、洗練されたデザインカード(壁紙)やメッセージ(サービスによっては動画や写真も可能)などを添えて、ギフトを贈ることができるため、個人から個人へ「ありがとう」、「ごめんね」という気持ちを気軽に伝えることができる点に魅力となり、スモールギフトを贈るケースが拡大している。

 スモールギフトでは、リアル店舗送客型のソーシャルギフトサービスの利用が拡がっている。リアル店舗送客型のソーシャルギフトサービス提供事業者は、主に外食事業者や流通小売事業者と提携して、ディストリビューターとしてサービスを提供する事業者と、自社で展開している店舗での顧客の囲い込みを目的としてサービスを提供する事業者に分かれるとしている。

 今後については、国内のソーシャルギフト市場は、2020年度には1,110 億円(発行金額ベース)まで拡大すると予測した。その要因としては、(1)法人におけるオンラインキャンペーンや従業員向けの福利厚生の一環によるソーシャルギフト利用の拡大、(2)贈り先へ効果的なメッセージを伝えるメッセンジャーと連携した新たなギフト習慣としてのソーシャルギフトの浸透、(3)従来の紙やカードである商品券・ギフト券、ギフトカード需要からの代替利用としての利用拡大、(4)従来の品物現物を贈るカジュアルギフト需要からの代替サービスとしての利用拡大、などが挙げられるとしている。(編集担当:慶尾六郎)