IT専門調査会社 IDC Japanは、2015年第3四半期(7~9月)の国内エンタープライズストレージシステムの売上額実績を発表した。これによると、2015年第3四半期の国内エンタープライズストレージシステム売上額(Value)は631億1,900万円で前年同期比1.4%減となった。
IDCではエンタープライズストレージシステムとして外付型、サーバー内蔵型、ODM Directをカウントしている。外付型とODMはプラス成長だったが、内蔵型がマイナス成長となり、全体でも前年同期比でマイナス成長となった。売上額631億1,900万円の内訳は、外付型が466億5,800万円(構成比73.9%)、サーバー内蔵型が131億5,900万円(同20.8%)、ODM Directは33億200万円(同5.2%)。
15年第3四半期の国内外付型エンタープライズストレージシステム売上額は466億5,800万円で前年同期比1.2%増となった。外付型エンタープライズストレージシステムのセグメント別内訳は、メインフレーム向けが61億900万円(前年同期比1.3%増)、UNIX、Windows、Linuxなどのオープンシステムおよびその他OS向けが405億4,900万円(同1.2%増)となった。
メインフレーム向けは、15年第1四半期、第2四半期で官公庁と金融で大型更新案件の影響で2期連続2桁成長となったが、第3四半期も金融などで大型案件があった。オープンシステム/その他OS向けは、サーバー仮想化やVDI(Virtual Desktop Infrastructure )などの仮想化環境向けやクラウドインフラ向けで需要拡大が続いているという。また、オープンシステム/その他OS向けでは、新興ベンダーだけでなく、大手ベンダーが相次いで参入したことでフラッシュデバイスのみを搭載したオールフラッシュストレージが本格的な成長を始めているとしている。
15年第3四半期の国内外付型エンタープライズストレージシステムのクラス別売上額は、ハイエンド(システム価格3,000万円以上)が133億3,700万円で前年同期比9.9%増、ミッドレンジ(同500万円~3,000万円未満)が162億300万円で同4.6%減、ローエンド(同500万円未満)が171億1,800万円で同0.9%増となった。ハイエンドの高成長には、メインフレーム向けの成長と共にオープンシステム向けでの更改案件が寄与したとしている。
また、15年第3四半期の国内外付型エンタープライズストレージシステム出荷額(Vendor Revenue)は443億7,600万円で、サプライヤー別出荷額の上位5社は日立製作所(シェア19.1%)、EMC(15.1%)、富士通(13.2%)、NEC(9.8%)、IBM(9.3%)だった。
IDC Japan エンタープライズインフラストラクチャ/IPDS/PCs グループディレクターの森山正秋氏は「2015年第3四半期はオールフラッシュアレイが高成長を記録するなど、国内企業のストレージインフラに対する支出パターンの変化が見られた。サプライヤーはこうした変化に対応した製品戦略やパートナー戦略の強化が求められる」と分析している。(編集担当:慶尾六郎)