14年の国内クラウドインフラストラクチャソフトウェア市場は前年比38.4%増の143億7,300万円に

2016年01月25日 09:22

 IT専門調査会社 IDC Japanは、2014年における国内クラウドインフラストラクチャソフトウェア市場規模実績と2019年までの市場規模予測を発表した。クラウドインフラストラクチャソフトウェアは、クラウド環境(パブリッククラウド、プライベートクラウド両方とも対象)を構築、管理するために必要なソフトウェアであり、主に仮想化ソフトウェアとシステム管理ソフトウェアで構成される市場とIDCでは定義している。

 それによると、2014年の国内クラウドインフラストラクチャソフトウェア市場は前年比38.4%増の143億7,300万円となった。2015年は前年比36.5%増の196億1,500万円になるとIDCでは予測している。2015年ではプライベートクラウド向けの売上が67.4%を占めると見ている。

 大手グループ企業やデータセンターサービス事業者において、既に構築されている仮想化基盤をプライベートクラウド基盤に発展させていくケースが増加しており、仮想マシンのプロビジョニングツールや運用プロセスを最適化するためのオーケストレーションツールの導入が増えているという。

 2014年のクラウドインフラストラクチャソフトウェアのベンダー別シェアでは、ヴイエムウェアが35%以上のシェアを獲得し市場のリーダーのポジションを確固たるものとした。その後にIBM、マイクロソフト、富士通、NECが続いているが、いずれもシェア10%未満となっており、ヴイエムウェアの存在感が際立っている。トップ5の中では、マイクロソフトが60%以上の最も高い前年比成長率を達成したとしている。

 2014年~2019年の年間平均成長率(CAGR: Compound Annual Growth Rate)を31.8%、2019年には2014年の約4倍の規模となる572億円に達するとIDCでは予測している。引き続きプライベートクラウド向け市場は拡大していくという。パブリッククラウド向けは、短期的にはIaaS(Infrastructure as a Service)上に構築されたシステムに対する監視や管理、中期的にはハイブリッドクラウドの実現のためにクラウドインフラストラクチャソフトウェアが実装されていくとみられるとしている。さらに、プライベートとパブリックの両方において、OpenStackを採用したクラウド基盤の構築が2017年頃から本格化し、OpenStackディストリビューションや機能拡張を図るためのソフトウェアの売上も市場成長に寄与するとIDCではみている。

 IDC Japan ソフトウェア&セキュリティ リサーチマネージャーの入谷光浩氏は「形態が多様化し、今後ますます複雑化していくクラウド環境に対して、いかにそれらを一元的に運用管理できるソリューションを提供できるかがクラウドビジネスにおいて重要となる。ベンダーはOpenStackのようなオープンソースソフトウェアを含めたクラウドインフラストラクチャソフトウェアを活用し、複数のクラウドを連携させるハイブリッドクラウドソリューションを積極的に展開していく必要がある」と述べている。(編集担当:慶尾六郎)