データセンターが大きくなるほどサーバーラックあたりの保守運用コストは減少

2016年01月16日 20:14

 IT専門調査会社 IDC Japanは、国内のデータセンター(DC)の保守運用コストに関する調査結果を発表した。この調査では、データセンターの規模や設備仕様の違いが、保守運用コストにどのような影響を与えているのかを分析している。調査対象としたコストの範囲は、データセンター設備の保守や運用管理にかかる人件費、データセンター内に設置するIT機器監視のための人件費、およびデータセンターで使用する電気代。IT機器上で稼働するソフトウェアの運用人件費や、土地や建物の賃料/管理費は含まれていないという。また、分析はコスト総額の比較ではなく、サーバーラック1台あたりのコストの比較によって分析を行っている。

 調査結果によると、データセンターが大きくなるほど、サーバーラックあたりの保守運用コストは減少することがわかった。これはデータセンターの規模が大きいほど、大量のIT機器、空調設備、非常用電源設備などの運用を集中して行うことが出来るようになるため。現在国内では大規模なデータセンターが次々と新設され、小規模なセンターが統廃合されているのは、こうした理由によるものとしている。

 しかし、ある一定の規模よりもデータセンターが大きくなると、スケールメリットによるコスト削減効果は次第に小さくなることもわかったという。具体的には、サーバーラックの収容可能台数ベースで1,000台を超えるような規模に達すると、規模をさらに大きくしてもサーバーラックあたり保守運用コストの削減効果は限定的になる。こうした大規模なデータセンターにおいては、運用効率を改善するためにさらなるスケールメリットを追求することはあまり意味がない、ということになるとしている。

 国内データセンターサービス市場は競争が激しくなっており、データセンター事業者間での事業統合や買収なども目立つようになっている。2015年12月にはエクイニクスがビットアイルの買収を完了した。さらに、電力コスト値上がりの懸念、建設コストの高止まりなどの要因により、データセンター投資は、しだいに投資効果を厳しく問われるようになっている。データセンター事業者が生き残るためには、大規模データセンターにおける運用効率の改善の取り組みが必須になっている。

 「大規模データセンターにおいて保守運用コストを削減するためには、電力コストの圧縮が重要である。電力管理システムの整備、電気設備や空調設備の省エネ運転システムの導入などが進むだろう」とIDC Japan ITサービス リサーチマネージャーの伊藤未明氏は指摘している。(編集担当:慶尾六郎)