【今週の振り返り】消費増税延期発表を境に下げ192円下落した週

2016年06月04日 20:16

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消費増税の2019年10月までの先送りはやっぱり株価はすでに織り込み済みだった。「噂で買って、事実で売る」というより、太陽は、正式発表されなくても沈んだ?

 6月1日の日経平均は6営業日ぶりの大幅反落。ヨーロッパ市場は揃って反落。NYダウ終値も86ドル安で反落。S&P500もマイナスだったがNASDAQは5日続伸した。個人所得は+0.4%で市場予測と一致。個人消費支出は+1.0%で6年8ヵ月ぶりの高い伸び率。3月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は+5.4%で市場予測を上回ったが、消費者信頼感指数は前月比-2.1ポイントと低下。シカゴ購買部協会景気指数(PMI)は49.3で3ヵ月ぶりの50割れは予想外。ダラス連銀製造業活動指数は-20.8と悪化した。原油先物価格は3日続落で48ドル台。強弱まちまちな経済指標、ECB理事会待ちの様子見が重なり3連休明けは軟調。朝方の為替レートはドル円が110円台後半、ユーロ円が123円台前半。CME先物清算値は17070円。

 LINEが7月に東証、NY証券取引所に同時上場という報道が流れた。JR九州をしのいで今年最大の大物IPOになりそう。ソフトバンク<9984>はアリババ株の一部を売却すると報じられた。2年前にはLINE買収に動いたが、得た資金は負債返済や通常経費に使うという。安倍首相は通常国会の会期末のこの日の午後6時から記者会見を開くと予告。その時に消費増税延期を正式表明する観測が濃厚。取引時間前に発表された1~3月期の法人企業統計の金融、保険を除く全産業の設備投資額は+4.2%で、12四半期連続のプラス。製造業は+6.7%、非製造業は+2.9%増と良かった。

 日経平均は137円安の17097円で始まる。TOPIXも2ケタ安。5日続伸後で利益確定売りが入りやすい。ソフトバンクはプラス。LINE関連銘柄も揃って上昇。開始直後に17113円まで上昇した後、9時20分に17067円まで下落するが序盤は17050~17100円のレンジで小動き。17100円を突き抜けてもすぐ戻される。毎月1日は中国のPMIの発表日。10時発表の5月の国家統計局の製造業PMIは50.1で4月から横ばい。市場予測の50.0より上。非製造業PMIは53.1で4月の53.5から低下した。10時45分発表の5月の財新の製造業PMIは49.2で4月の49.4から低下。50割れは15ヵ月連続で市場予測よりも悪かった。上海市場はプラスで始まるが前日終値をはさんで上に行ったり下に行ったり。しかし日経平均は為替のドル円が若干、円安方向に振れたため17100円台前半まで下げ幅を圧縮。11時26分に17145円の高値を取り、前引けは97円安の17137円だった。相変わらず商いのほうは低調。

 上海市場はプラスに定着し小幅高で午前の取引を終える。為替のドル円は110円台後半で少し円高に振れ、後場の日経平均は前引けより安く再開。0時台は17100円を割っても1時すぎには17100円台に戻し、2時まではその前半で動きが乏しくなる。しかしそのままでは終われず、2時を回ると円高を伴う先物主導の下げが襲う。ドル円は110円台を守れず109円台半ばまで円高進行。トヨタ<7203>もソフトバンクもマイナスに転じ、日経平均は17100円も17000円の大台もあっけなく陥落し2時42分に16908円まで下落する。再開した上海市場もプラスからマイナスに変わる。それでも終盤は16900円台半ばまで戻し、終値は279円安の16955円で6営業日ぶりに大幅反落した。テクニカル的には前日まで上がりすぎて煮詰まっていたので、いいクールダウンの機会になった。

 日経平均終値は279.25円安の16955.73円、TOPIX終値は-17.73の1362.07。売買高は19億株、売買代金は2兆1154億円。値上がり銘柄数は473、値下がり銘柄数は1350。全33業種がマイナスで、その下位は水産・農林、鉄鋼、電気・ガス、証券、陸運、建設など。上海総合指数は最後まで方向性が定まらず0.1%安だった。

 6月2日の日経平均は大幅続落。ヨーロッパ市場は揃って続落。新車販売台数はアメリカ車も日本車も停滞。ISM製造業景況感指数は51.3で3ヵ月続けて50をオーバーしたが、建設支出は-1.8%で予想外のマイナス。地区連銀経済報告(ベージュブック)は「アメリカ経済はゆるやかに拡大」で、労働市場で賃金が上昇し、一部で物価上昇もみられると利上げを支援する内容だった。もっともNYダウに影響したのは経済指標よりも原油先物価格で、朝方はダウとともに大幅安だったが、終盤は急回復してダウをプラスに浮上させた。原油価格は4日続落でも49ドル台維持。NYダウ終値は2.47ドル高でNASDAQもS&P500もプラスだった。NASDAQは6日続伸。安倍首相が消費増税の2019年10月への再延期を正式表明したことで為替の円高が進行し、朝方の為替レートはドル円が109円台半ば、ユーロ円が122円台半ば。CME先物清算値は16855円で前日終値よりも100円安かった。

 日経平均は138円安の16817円で始まる。TOPIXも2ケタ安。9時台は下げて安値を更新する一方。16800円も25日移動平均の16756円も16700円も割り込み、9時57分に16639円の安値をつける。為替のドル円は109円台前半。日経平均が300円以上も安くなると、アメリカでの新車販売が熊本地震での生産停止が響いて9.6%減だったトヨタも、1.1%増で日本勢で最も良かった富士重工<7270>も、アイシン精機子会社の爆発事故でブレーキ部品の調達に支障をきたし一時生産停止のスズキ<7269>も一蓮托生のようなマイナス。円高に加え国内の消費増税前の駆け込み需要もなくなり、自動車業界の今期は厳しい。10時台は16600円台後半での値動きで、時々16700円にタッチ。上海市場はマイナスで始まってすぐプラスに転換し上げ幅を拡大。その後も変動は大きいもののプラスを維持する。しかし東京市場は11時を回ると為替の円高を伴った先物主導の下落が始まり、ドル円は109円を割り込み、日経平均は安値を更新しながら16600円を下回って11時29分に16556円まで下げる。日足一目均衡表の「雲」の上限16577円、75日移動平均線16565円よりも下。前引けは387円安の16568円だった。

 上海市場はマイナスに転じて午前の取引を終えたが、ドル円は109円台に戻り、後場の日経平均は16600円台を回復して再開。0時台は16600円をはさんで小動きする。1時台は1時20分に16525円の安値をつけ、5日続伸前の5月24日終値16498円に迫るが、後半は16600円を超える。雲のクッションはまだ有効。2時に5月の消費動向調査の結果が発表され、消費者態度指数は40.9で+0.1ポイント。消費者心理の基調判断は「足踏みがみられる」で据え置き。経団連定時総会で榊原会長は「決定を尊重したい」と消費増税先送りに理解を示したが、三村日商会頭は前日「残念。次に上げられなければ日本は財政的に破綻する」とコメント。経団連は大企業、日商は中小企業の利益代表なのだが「※個人の感想です」か? 上海市場はマイナスで始まるがプラスに転換。為替のドル円は109円台を保つが、日経平均は16600円を割り込んだり、また超えたり。ECB理事会、OPEC総会、アメリカ雇用統計と週末は気になるイベントが多い。終値は393円安の16562円で大幅続落。「雲」の中、75日線よりも下で終わった。午前中に日銀の佐藤健裕審議委員が釧路市で2%の物価安定目標について「無理に達成する必要はない」と発言したことがこの日の円高、株安の元凶だと新聞で槍玉にあげられていた。口から先は世間。

 日経平均終値は393.18円安の16562.55円、TOPIX終値は-30.26の1331.81。売買高は20億株、売買代金は2兆930億円。値上がり銘柄数は139、値下がり銘柄数は1773。プラスは水産・農林1業種のみ。マイナスは32業種で、その下位は保険、鉄鋼、銀行、鉱業、海運、証券など。上海総合指数は終盤上昇して0.4%高だった。