今回のニュースのポイント
JR東日本、JR東海、JR西日本、JR九州の本州・九州4社の2027年3月期第1四半期(2026年4~6月)連結決算が出そろいました。人流回復や観光需要の取り込みにより旅客需要は総じて堅調に推移したものの、本業の儲けを示す連結営業利益はJR東日本が前年同期比9.4%増、JR九州が同4.4%増となった一方、JR東海は同0.9%減、JR西日本は同11.7%減となり、明暗が分かれました。 人件費をはじめとする各種営業費用の増加や前年同期の反動などがみられるほか、各社でセグメント別の利益動向にも違いが表れています。不動産、ホテル、流通、旅行、IT・Suicaなど、鉄道以外の事業を含めた各社の収益構造にも違いがみられます。
本文
JR上場4社の2027年3月期第1四半期(2026年4~6月)連結決算が出そろいました。売上高にあたる営業収益は、JR東日本が前年同期比8.0%増の7,727億21百万円、JR東海が同3.0%増の4,927億16百万円、JR九州が同7.1%増の1,258億19百万円となった一方、JR西日本は同0.6%減の4,244億3百万円となりました。営業利益では、JR東日本が同9.4%増の1,255億44百万円、JR九州が同4.4%増の208億46百万円と増益を確保したのに対し、JR東海は同0.9%減の2,191億65百万円、JR西日本は同11.7%減の559億89百万円にとどまりました。JR東日本は営業収益が第1四半期として過去最高を更新し、JR九州は営業収益、営業利益、経常利益の3指標で第1四半期の過去最高を更新するなど増収増益となった一方、JR東海は増収営業減益、JR西日本は減収営業減益となり、方向の違いが生じる結果となりました。
今回の4社の第1四半期決算では、旅客需要の動向だけでは営業利益の増減を一様に説明できない結果となりました。JR東日本やJR九州では人流の戻りや利用回復に伴い新幹線・在来線の運輸収入が増加しました。JR東海でも東海道新幹線の利用が前年同期を上回って推移しており、JR西日本でも北陸新幹線の延伸効果や観光需要の取り込みが進みました。しかし、営業利益の動向は増益と減益に分かれ、各社資料からは人件費等の費用増加や前年同期の反動、セグメントごとの収益動向など、それぞれ異なる要因がみられます。
増収増益を果たしたJR東日本をみると、主力の「運輸事業」の営業利益が前年同期の678億円から838億21百万円へ伸び、全体を牽引しました。また、非鉄道分野では「流通・サービス事業」が153億6百万円(前年同期は142億円)、「その他(IT・Suica事業等)」の営業利益が前年同期の35億円から66億円へと拡大しました。一方で、「不動産・ホテル事業」は売上高が増加したものの、費用増等により営業利益は191億円(前年同期は284億円)と減益となっており、非鉄道事業全体が一様に好調だったわけではありません。
非鉄道分野の存在感が際立ったのがJR九州です。同社の主力を担う「運輸サービス事業」の営業利益が前年同期比0.3%増の95億97百万円であったのに対し、「不動産・ホテル事業」の営業利益は同6.7%増の99億59百万円に達しました。この第1四半期においては、不動産・ホテル事業の営業利益が運輸サービス事業の利益規模を上回る結果となっています。特に不動産賃貸収入の増加に加え、ホテル事業においてインバウンドを含む宿泊需要の拡大を背景に営業利益が同17.0%増と大幅に伸びたことが全体を押し上げました。
一方、新幹線需要が堅調だったJR東海は増収営業減益となりました。同社の主力である「運輸業」は、営業収益が前年同期比1.3%増の4,043億61百万円となったものの、営業費用の増加が影響し、営業利益は同2.4%減の2,043億81百万円となりました。需要の底堅さが必ずしも本業の増益に直結しない構図がみられます。その他のセグメントでは、「流通業」の営業利益が同33.8%増の42億93百万円、「不動産業」が同3.4%増の71億39百万円、ホテルや旅行業などを含む「その他」が同57.1%増の36億69百万円といずれも増益を確保して運輸業の減益を一部補いましたが、連結全体では前年同期をわずかに下回りました。
JR西日本は、営業利益が同11.7%減(559億89百万円)となりました。主力の「モビリティ業(運輸業)」のセグメント利益が401億53百万円(前年同期は434億78百万円)となったほか、「流通業」が37億55百万円(同51億40百万円)、「不動産業」が120億65百万円(同144億61百万円)となり、前年同期の反動や費用増加などにより各分野で減益となりました。ただし、全事業が悪化したわけではなく、「旅行・地域ソリューション業」については北陸新幹線の延伸効果や観光需要の取り込みにより、前年同期の6億36百万円の赤字から7億42百万円の黒字へ転換を果たしています。
今回の決算からは、各社が主力を担う鉄道事業を基盤としつつ、それぞれ異なるセグメント構造を通じて収益を確保している実態が浮かび上がります。JR東日本では運輸の回復とともにIT・Suica事業等の利益伸長がみられ、JR九州では不動産・ホテル事業の営業利益が運輸サービス事業を上回るなど、各社の「鉄道+α」の取り組みが業績に影響を与えています。
もっとも、4社はいずれも第1四半期時点において通期の連結業績予想および配当予想を従来の公表値のまま据え置いています。第1四半期の増減のみから通期業績の優劣を論じることはできず、今後は旅客需要の持続性やインバウンド動向に加え、人件費など営業費用の推移、さらには不動産や流通といった各セグメントの収益動向を注視する必要があります。加えて、JR東海におけるリニア中央新幹線の進捗や、JR九州が精査を進める2026年7月の熊本地震による影響など、各社固有の要因の推移も注目されます。
旅客需要が堅調に推移するなかでも、費用動向やセグメントごとの収益状況に違いがみられ、営業利益の方向が分かれた今回の第1四半期決算。鉄道需要を確実に収益につなげながら非鉄道分野をどのように成長させていくか、各社の事業構造に応じた取り組みが今後も注視されます。(編集担当:エコノミックニュース編集部)













