JAL・ANAそろって増収も大幅減益 旺盛な航空需要、燃油高が利益圧迫

2026年08月16日 11:51

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JALとANAの航空機。両社の2027年3月期第1四半期決算は、旺盛な航空需要を背景に増収となる一方、燃油費などのコスト増が利益を圧迫した

今回のニュースのポイント

日本航空(JAL)とANAホールディングスの2027年3月期第1四半期決算は、旅客需要などを背景にそろって増収となる一方、利益は大幅に減少しました。JALは売上収益11.2%増に対してEBITが72.1%減、ANAは売上高22.6%増に対して営業利益が43.5%減。旺盛な航空需要を取り込む一方、燃油費などのコスト増が収益を圧迫しています。

■ JAL・ANA、そろって増収も利益は大幅減

 国内航空大手2社(日本航空【JAL】、ANAホールディングス)の2027年3月期第1四半期(2026年4〜6月)連結決算が出そろいました。訪日客やレジャー需要の回復により、両社とも売上高(売上収益)は2桁増と順調に伸びたものの、主要な利益指標は大幅な減益となりました。

・JAL(IFRS): 売上収益 5,237億3,700万円(前年同期比 11.2%増)、EBIT 127億3,000万円(同 72.1%減)、四半期利益 53億5,300万円(同 80.2%減)

・ANA HD(日本基準): 売上高 6,727億2,900万円(前年同期比 22.6%増)、営業利益 207億8,200万円(同 43.5%減)、四半期純利益 194億1,100万円(同 15.4%減)

 (※JALはIFRSおよびEBIT、ANAは日本基準および営業利益を主要指標とするため、絶対額の比較ではなく前年同期からの変化の方向性を分析)

■ 国際線中心に旅客需要は好調 「需要不足」による減益ではない

 今回の減益は、利用客の伸び悩みによるものではありません。むしろ航空需要そのものは旺盛に推移しています。

 ANA(国際線旅客)は、旺盛な訪日需要や日本発のレジャー需要を積極的に取り込み、旅客数が前年同期比14.3%増の236万人、旅客収入が同20.0%増の2,476億円に達しました。利用率も85.1%(前年同期から5.7ポイント上昇)と高水準を記録しています。国内線も旅客数・収入ともに前年を上回りました。

 JALにおいても同様に、インバウンドやビジネス、レジャー需要の取り込みが進み、国際線・国内線ともに単価調整や需給適合が奏功して売上収益(11.2%増)の押し上げに貢献しました。

■ 燃油費などが増加 増収を打ち消したコスト負担

 大幅な減益につながった大きな要因がコスト負担の増加です。中東情勢の緊張などを背景とした航空燃油価格の高騰が利益を圧迫しました。

 JALでは、円安基調の影響も加わり、航空燃油費が前年同期比58.4%増の1,488億9,400万円へと大幅に増加。これが主因となり、主力のフルサービスキャリア事業のEBITは前年同期の307億円の黒字から8億円の赤字へと転落しました。

 ANAも主力の航空事業セグメントにおいて、売上高が前年同期比24.9%増の6,208億円へ拡大したものの、燃油費などの増加が重荷となりセグメント営業利益は同48.7%減の181億円にとどまりました。両社とも需要拡大によって売上を伸ばした一方、燃油費をはじめとするコスト増が利益を圧迫する構図となっています。

■ 国際貨物が成長を後押し ANAはNCA連結も寄与

 収益の下支えや成長領域として存在感を高めているのが国際貨物事業です。

 ANAは半導体関連や北米向け需要の回復を背景に、国際線貨物収入が前年同期比37.9%増の583億円と急増。さらに前年に連結子会社化したNCA(日本貨物航空)の収入(当1Qで504億円)が加わったことで、航空事業全体の増収幅を大きく押し上げました。

 JALも大型機の増便や高付加価値貨物の輸送拡大が寄与し、国際貨物の増収につながりました。航空会社の収益源が単なる旅客輸送だけでなく、貨物ネットワーク全体へと多角化していることが窺えます。

■ 非航空事業が利益をサポート

 本業の航空事業がコスト増で苦戦するなか、非航空・周辺事業も利益を下支えしています。

 JALでは、カード取扱高の増加などを背景に「マイル/金融・コマース事業」のEBITが前年同期比17.6%増の120億4,700万円へと伸び、グループ全体の減益幅を抑制しました。ANAでも国際エクスプレス貨物や機内食受託が伸びた「航空関連事業」の営業利益が前年同期比54.3%増の49億円となるなど、周辺事業の収益性が安定化に寄与しています。

■ 通期予想は据え置き 燃油価格と為替の動向が今後の焦点

 第1四半期は大幅な減益スタートとなったものの、両社ともに通期の業績予想を従来のまま据え置いています。

・JAL: 売上収益 2兆950億円、EBIT 1,800億円、当期利益 1,100億円(据え置き)

・ANA HD: 売上高 2兆7,700億円、営業利益 1,500億円、純利益 960億円(据え置き)

 インバウンドやレジャーを中心とする航空需要そのものは依然として底堅く推移しています。しかし、航空会社自体の努力だけではコントロールが難しい燃油価格や為替相場の変動が、増収を利益へ還元するうえで大きな壁となっています。需要拡大を収益成長へ結び付けられるか、燃油価格と為替の動向とともに今後の焦点となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部)