今回のニュースのポイント
神奈川県横須賀市とNTT東日本は、災害対策本部における自治体職員の意思決定や業務対応を生成AIで支援する実証実験を開始しました。同一の災害シナリオを用いて「生成AIの支援なし」と「生成AIの支援あり」の2パターンで職員の対応を比較検証する点が特徴です。処理速度に加え、対応内容の妥当性や複数機関への同時展開の適切さ、職員の配属年数や経験による効果の違いなどを確認し、実業務における有用性と課題を整理します。
本文
大規模な自然災害が発生した際、自治体の災害対策本部には短時間で大量の被害状況や避難所の状況、物資・人員などに関する情報が集中します。本部職員は限られた時間の中で膨大な情報を整理し、優先順位を見極めながら対応策を判断しなければなりません。横須賀市とNTT東日本は、こうした災害対応業務において生成AIがどのように職員の意思決定を支援できるかを検証する取り組みを開始しました。
今回の特徴は、同一の災害シナリオについて「AI支援なし」と「AI支援あり」の双方で対応を検討し、その結果を比較する点です。8月31日には第一弾として、横須賀市危機管理課の職員が参加する共同ワークショップが実施されました。両者は三浦半島断層群地震の発災直後を想定したシナリオを使用し、同じ条件下で生成AIの有無が業務に与える影響を直接比較します。
実証では、生成AIから対応の優先順位や関係機関との連携先候補、対応内容の案などの提示を受ける条件と、AI支援なしの条件で結果を比較します。検証するのは、1件あたりの回答所要時間、対応先や対応内容の妥当性、複数機関への同時展開の適切さなどです。さらに、参加職員の配属年数や災害対応経験と、生成AIによる支援効果との関係も確認します。
実証に用いる生成AIには、「横須賀市地域防災計画」に加え、災害対策業務を8分野47種に体系化した実務ガイド『災害対応オペレーションBOOK47』を参照させます。これらの資料を参照させることで、自治体の災害対応に必要な情報を踏まえた支援が可能かを確かめる狙いです。
本実証は、AIが人間に代わって判断を下したり、自動で災害対策本部を運用したりすることを目的としたものではありません。意思決定を行うのはあくまで自治体職員であり、意思決定に至る前段階の情報集約や選択肢の提示、資料参照などの業務において、生成AIが人間の補助ツールとしてどの程度実効性を持つかを見極める位置付けとなっています。
災害発生時の緊張感と不確実性が高まる現場において、最新のAI技術がどこまで職員の判断を支援できるのか。同一シナリオによる比較を通じ、生成AIによる意思決定支援の有用性と課題をどこまで明らかにできるかが焦点となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













