福井県、核燃料税の全税率引き上げ 計画税収は年192億円、使用済み燃料への課税33%増

2026年10月31日 08:20

福井県イメージ

福井県の位置を強調したイメージ図。県の核燃料税は2026年11月10日から3種類すべての税率が引き上げられる予定で、年間の計画税収は約192億円と見込まれています。(画像はイメージ)

ュースのポイント

総務省は2026年10月30日、福井県の法定外普通税「核燃料税」の更新に同意しました。11月10日施行予定です。価額割が9.0%、出力割が6万5,000円、5年超保管の使用済み燃料に課す搬出促進割が500円へと、3種類の税率がすべて引き上げられます。全基稼働を前提とした平年度の計画税収は約192億円を見込み、従来の計画税収(約154億円)から約38億円増加する見通しです。

本文
 総務省は2026年10月30日、福井県から協議のあった法定外普通税「核燃料税」の新設(更新)について、総務大臣が同意したと発表しました。新たな課税期間は2026年11月10日から2031年11月9日までの5年間です。福井県議会が7月21日に条例案を可決し、同日に総務大臣へ協議を行っていました。今回の改定における最大の焦点は、3種類すべての税率が引き上げられた点です。県は財政需要の増大を引き上げの背景に挙げており、使用済み燃料の長期貯蔵も引き続き課税対象となります。

 総務省資料で「新設(更新)」と表記されている通り、福井県の核燃料税は今回初めて創設された税ではありません。1976年に導入された法定外普通税であり、以降5年ごとの課税期間の満了に合わせて条例改正や更新を重ねてきました。前回の課税期間は2021年11月10日から2026年11月9日までで、期限到来に伴い新たな条例が制定された経緯があります。地方税法に基づく法定外普通税の新設や更新には総務大臣の同意が必要であり、10月30日の同意を経て、新条例は11月10日から施行される予定です。

 新税制では、3つの課税区分すべての税率が引き上げられました。第1に、発電用原子炉への核燃料の挿入に課される「価額割」は、核燃料の価額に対する税率が従来の8.5%から9.0%へと0.5ポイント引き上げられました。第2に、原子炉の熱出力に応じて課される「出力割」は、熱出力1,000kW当たり1課税期間(3か月)につき、従来の5万1,200円から6万5,000円へと1万3,800円(約27.0%)増額されました。なお、廃止措置中の原子炉は従来通り税率が2分の1となります。第3に、原発施設内で5年を超えて貯蔵されている使用済み核燃料に課される「搬出促進割」は、核分裂前の核燃料物質重量1kg当たり1課税期間(3か月)につき、従来の375円から500円へと125円(約33.3%)引き上げられました。

 福井県が示した年間の計画税収は、従来の約154億円から新制度では約192億円となり、約38億円(約24.7%)増える見込みです。これらは県内の原子力発電所がすべて稼働した場合を想定した計画額であり、実際の税収を示すものではありません。福井県は引き上げの背景として、資材費や人件費の高騰に加え、人口減少対策、産業振興、インフラ整備など、増大する財政需要への対応を挙げています。また、核燃料税は使途が特定目的に限定されない法定外普通税であるため、税収全額が原子力関連施策のみに充てられるわけではなく、県の一般財源として幅広い行政課題に活用されます。

 今回の改定で特に政策的な注目を集めているのが、搬出促進割の大幅な増税です。この課税区分は原発施設内で保管されている使用済み核燃料のうち、貯蔵期間が5年を超えたものを対象としています。発電実態だけでなく、サイト内での長期保管そのものに税負担を課す点に特徴があります。3か月当たり1kgにつき500円という新税率は、仮に同一重量が1年間(4期分)課税対象となった場合、1kg当たり年間2,000円(従来は1,500円)に相当します。搬出促進割は、原発施設内に長期間貯蔵される使用済み核燃料の搬出を促す趣旨を持つ課税区分です。ただし、今回の税率引き上げによって実際に搬出が進むかどうかは、搬出先の確保状況などにも左右されるため、現時点で効果を断定することはできません。

 核燃料税の納税義務者は、発電用原子炉の設置者である電力事業者などです。全税率の引き上げにより、事業者の税負担が増える可能性があります。ただし、総務省の資料は県全体の税収見込みを示すにとどまり、特定の電力会社ごとの具体的な負担増額を示したものではありません。また、この税負担増が直ちに電気料金の引き上げにつながるかどうかも各社の料金制度や経営判断によるため、現段階で因果関係を特定することは困難です。

 福井県による核燃料税の更新は、制度の継続性を保ちつつ、すべての課税区分で税負担を引き上げる改定となりました。原発立地自治体が直面する財政需要と、解決の道筋が問われ続ける使用済み核燃料の長期保管問題が、税制を通じて顕在化した形といえます。全基稼働を想定した約192億円の計画税収が実際の納税額としてどう推移するのか、また搬出促進割の引き上げが電力事業者の燃料管理にどう作用していくのか、制度の理念と運用実態の双方を客観的に見極めていく必要があります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)