政府は6月25日の閣議で平成25年版「少子化社会対策白書」を閣議決定した。また、7月2日には国土交通省が、2012年度の「国土交通省白書」を発表した。このふたつの白書を基に、少子化問題について考えてみよう。
まずは未婚化・非婚化の進行について。10年の総務省「国勢調査」によると、25?39歳の未婚率は男女ともに引き続き上昇している。男性は、25?29歳で71.8パーセント、30?34歳で47.3パーセント、35?39歳で35.6パーセント、女性は、25?29歳で60.3パーセント、30?34歳で34.5パーセント、35?39歳で23.1パーセントとなっている。そして生涯未婚率を30年前と比較すると、男性は2.60パーセント(1980年)から20.14パーセント(2010年)、女性は4.45パーセント(1980年)から10.61パーセント(2010年)へ上昇している。
晩婚化、晩産化の進行もまた問題となる。日本人の平均初婚年齢は、11年で、夫が30.7歳(対前年比0.2歳上昇)、妻が29.0歳(同0.2歳上昇)と上昇傾向を続けており、結婚年齢が高くなる晩婚化が進行している。1980年には、夫が27.8歳、妻が25.2歳だったので、約30年の間で、夫は2.9歳、妻は3.8歳、平均初婚年齢が上昇していることになる。さらに、出生したときの母親の平均年齢を見ると、2011年の場合、第1子が30.1歳、第2子が32.0歳、第3子が33.2歳であり、初めて第1子出産年齢が30歳を超えている。
年収が婚姻状況に与える影響について見てみると、男性は、年収が600万円までの区分で年収が多ければ多いほど既婚率も高くなる。しかし、年収1,000万円以上の人については既婚率が低下していている。女性の年収600~800万円の人についても同様の現象が見られる。ある程度の所得以上の層においては既婚率が低くなるということである。これについては、「経済的にすでに自立していることから、結婚による追加的な経済的メリットを感じにくいこと等が理由と考えられる」との分析がなされている。
未婚や晩婚が増えていけば、少子化が進むのは当然のことだろう。また「子供が欲しくても経済的に厳しくて産めない」という声もよく聞く。未婚や晩婚と同じように経済的問題も、少子化と結びつけられることが多い。
10年の合計特殊出生率(女性が一生の間に産むとされる子供の数)は、1.39である。最高が沖縄県の1.87で、最低が東京都の1.12である。ところで、全国都道府県別の12年の平均年収を見てみると、沖縄県が最下位で353万円、東京都は471万円で2位である。沖縄は平均年収が全国最下位であるにも関わらず、合計特殊出生率は全国でダントツの1位である。これはふたつの白書からは見えてこない事実である。この「沖縄パラドックス」とでもいうべきケースに、少子化問題を考える時の大いなるヒントが隠されていると筆者は考えている。(編集担当:久保田雄城)