日本化薬<4272>は野村證券がレーティングを「バイ」に引き上げて58円高。山一電機<6941>は前日の決算説明会でのアナリストの心証が良く、一時ストップ高の61円高で値上がり率1位。超薄型多層基板への期待が高まる。前日のアンチヒーローのユニチカ<3103>は2円安で続落し値下がり率9位だった。東証マザーズ指数は7日続伸、日経ジャスダック指数は5日続伸と個人投資家が集まる新興市場は快進撃。ジャスダックの日本マイクロニクス<6871>と日本通信<9424>の売買代金が東証1部1位の三井不動産、2位のソフトバンクを追い越した。株価は日本マイクロニクスが580円高、日本通信は77円高で年初来高値を更新した。
ヤマダ電機<9831>はユーロ円建て転換社債型新株予約権付社債(CB)で1000億円を資金調達すると発表。そのうち500億円は2015年満期のユーロ円建てCBの償還財源だが、同時に発行済株式数の16.79%にあたる最大1.5億株、500億円の自社株買いを発表し、そちらにCBで調達資金の半分を使うという。「苦肉の財務と株価対策」にも見えるが、野村證券が評価して目標株価を引き上げたこともあり売買高7位、売買代金16位と買われ、24円高で年初来高値を更新して値上がり率12位に入っていた。
この日の主役というかアンチヒーローは三井不動産。前日、最大1億株、3245億円規模の公募増資を実施し、東京都心部の八重洲・日本橋地区の複合施設の開発費用にあてると発表した。銀行から好きなだけ低利で調達できそうな財務内容でもあえて行う「攻めの財務」の意気や良しでも、総額で3000億円を超え12%の希薄化をもたらす大型増資はさすがにインパクトが大きく、この日は売られも売られたり売買代金1位で158円安。値下がり率4位で日経平均マイナス寄与度でもトップになった。そのショックは他の大手不動産銘柄にも波及し、三菱地所<8802>は売買代金9位で19円安、住友不動産<8830>は同10位で13円安。不動産セクターは業種別騰落率最下位だった。とはいえ、三井不動産の株価は前場に235円安まで下げたが後場は「何と言っても高収益が望める東京都心部だ」と調達資金の使い途の筋の良さが見直されたのか徐々に値を戻していた。やはり9区が国家戦略特区でもある東京都心部は「オリンピックの光は七光り」なのだろうか?
(編集担当:寺尾淳)