日経平均は77円高の19194円で始まる。TOPIXは1560台に乗せる。午前9時2分に19164円まで下げて売り物をさばいた直後、19200円を超えて10月30日の高値19202円をようやく抜けた。それより上は、8月21、24、25日のたった3営業日で2227円も暴落し2万円台から滑り落ちた忌まわしい出来事以来なかった水準。4本の移動平均線で唯一上に残っていた200日移動平均の19249円も、9時19分に19261円まで上昇して突破した。だがそこから下落して瞬間19200円を割り、序盤は勢いがなかなか続かない。9時台後半は19200円付近でもみあう。10時台になると19200~19230円のレンジで動くが、上海市場が序盤、プラスとマイナスの間で右往左往すると11時前に19170円付近まで下落する。それでも11時台には、上海が小幅プラスで安定し始めて19200円付近の静かな値動きに戻った。前引けは89円高の19206円と19200円台で終えたが、TOPIXは前場を1560台で終われなかった。
上海市場は小幅プラスで午前の取引を終了した。後場の日経平均はほぼ前引け水準で再開するが、すぐに19200円を割り込む。アメリカの雇用統計前の様子見に加えて、利益確定売りの金曜日。それでも安値更新はせず、19100円台後半の小動きから午後1時台には19200円台に乗せ、少しずつ水準を上げていく。2時に9月の景気動向指数速報値が発表され、一致指数は前月比0.3ポイント低下の111.9で3ヵ月連続のマイナス。景気の基調判断は「足踏みを示している」で据え置いた。先行指数は2.1ポイント低下の101.4でこれも3ヵ月連続のマイナス。算出の際の構成指標にはTOPIXも入っている。日本時間の2時に再開した上海市場はプラス幅をひろげる展開で、3時には+1.5%を超えた。
アメリカ雇用統計待ちに週末要因。上海市場は堅調だが発表された国内指標は悪いというモヤモヤした空気を一掃したのが、黒田日銀総裁と安倍首相だった。午後に内外情勢調査会で講演した黒田総裁は中国経済に警戒感を示しつつ「2%の物価目標を達成するためにとる政策手段に限界はない」と、相変わらずの強気イケイケ将軍「クロダ大戦車軍団」。さらに安倍首相が「必要なら補正予算を編成する」「法人税率を引き下げる」と発言したという速報が伝わった。昼下がりの「アベ・クロ二重奏」に反応して2時台は為替が円安に振れ、日経平均は19250円を突破してさらに上昇し、2時28分に19300円台寸前の19294円の高値をつけた。その後、利益確定売りで19250円を一時割り込むが、終盤には少し上昇して149円高の19265円で3日続伸。終値19200円台は8月21日以来。TOPIXも1560台で終えた。郵政3社は揃って下落し「The party’s over」。上海総合指数は+1.90%で終え、こちらも3日続伸した。
日経平均終値は149.19円高の19265.60円、TOPIX終値は+8.49の1563.59。売買高は20億株、売買代金は2兆4248億円で郵政3社上場まつりで興奮した商いも少し落ち着いた。値上がり銘柄数は1311、値下がり銘柄数は497。22業種が上昇し、上位は建設、ガラス・土石、電気・ガス、小売、医薬品、精密機器など。鉄鋼セクターがプラスマイナスゼロ。10業種が下落し、下位はパルプ・紙、鉱業、石油・石炭、ゴム製品、その他金融、その他製品などだった。
今週の星取は3勝1敗。前週末10月30日の終値19083.10円から182.50円上昇して、郵政3社上場のお祭り騒ぎを楽しんだ今週の取引を終えた。3週連続のプラス。チャートでは移動平均線4本を全て突破し、日足一目均衡表の「雲」の上に出て、あと734.4円で2万円台を回復できる地点まで到達した。(編集担当:寺尾淳)