身体に装着して利用するウェアラブル端末は、時計やメガネというツールではかなり知られるところとなっているが、今回グンゼが開発したのは、肌着タイプのウェアラブルとそのシステムだ。
衣料型ウェアラブルシステムは、肌着メーカーとして定評のあるグンゼのニット(編み)技術で導電性繊維をインナー(肌着)に加工し、その繊維をセンサーや配線として活用することで着ている人の健康状態をチェックしようというものだ。もちろん配線だけでは携帯型コンピュータにはならないので、コンピュータ部分はNECが協力した。
チェックできることは、姿勢、心拍数、消費カロリーなど。システムは、インナーに編み込まれた機能性繊維から得た情報を胸の部分に実装された柔軟・薄型コンピュータでデータ化し、無線通信でスマートフォンに自動送信される。着用者は専用アプリケーションによって自分で生体情報を分かりやすく確認できる。
腕時計やメガネならば、その着用感は想像もできるが、インナーとなるとどうだろう。グンゼは「センサーや配線部分もニットで伸縮するため、身体にフィットして動きやすい。伸縮性や通気性に優れているとともに、洗濯も可能で日常的に着用できるインナー」とPRしている。
ここには、グンゼ研究開発部の苦心の成果が込められている。インナーに施された姿勢センサーの設計は身体の動きによる皮膚の伸縮を計測したデータを積み重ねて構築されたもので、グンゼの子会社であるグンゼスポーツのノウハウを活用して着用中の姿勢を測定できるデザインを実現した。
さて、自分で消費カロリーや心拍数をチェックできるのはいいとして、付加価値も欲しい。測定データはスマホを通してNECのクラウド上に蓄積されるため、ビッグデータとしての活用も可能になるとともに、個々人の姿勢・ゆがみ・くせなど身体の状態を見える化し、姿勢改善や肩こり予防に役立つアドバイスの提供にもつなげるという。美容・健康に関するサービスの提供にも展開したいという。
ウェアラブル肌着は直接消費者には販売されず、スポーツクラブなどに「システム」として販売される。2016年度中にはグンゼスポーツなどで取り扱いを始める計画だ。(編集担当:城西泰)