ドローンが伝書鳩に。孤立被災地とのメール交換

2016年03月01日 07:46

 KDDI研究所は25日、ドローン(無人航空機)を災害発生で孤立した被災地との通信に活用するためのメッセージ蓄積中継システムを開発し、実証実験に成功したと発表した。前日には国土交通省と民間業者がドローンを商用として宅配に利用しようという実証実験が徳島県で行われたばかりだった。ドローンの活用に向け、それぞれが知恵を絞っている。

 同研究所が行った実験の目的は、携帯電話が使用できなくなった被災地へドローンを飛ばしてEメール(メッセージ)を届けようというもの。これまでも通信不通対策として、車載型基地局による復旧や海上から船舶を利用した復旧の実証実験などが行われてきたが、臨時の基地局からの電波を携帯電話まで届けるには、被災地まで近づかなければならず、電波が届かない遠隔の被災地との通信を復旧させる場合には、時間を要することが課題とされてきた。

 そこでドローンの登場というわけだ。同研究所では、小型のサーバとWi-Fi通信装置から構成されるメッセージ集配装置をドローンに搭載し、孤立地域に飛ばして現地でEメールの送受信をする蓄積中継システムを開発した。

 具体的な利用法は、孤立地域の各避難所にいる被災者は、まず自分のスマートフォンを使って避難所に設置された「メッセージ保管装置」にWi-Fiで接続、専用アプリのダウンロードを経てEメールを作成する。そのEメールはドローンが来るまで避難所のメッセージ保管装置で保管されており、ドローンが近くまで飛来したときにドローンとの通信によりメッセージを回収するというもの。ドローンが帰還後にそのメールは普通に送信される。返信を送ることも可能という。

 現代版の伝書鳩というイメージか。大事な情報をしっかり中継して戻って来るように、さらなる研究の進展に期待したい。(編集担当:城西泰)