16年上半期の投資額は前年同期比13%減の2810億ドル

2016年07月22日 08:42

 総合不動産サービスのJLLがまとめた投資分析レポートによると、2016年第2四半期の世界の商業用不動産投資額は、速報ベースで前年同期比12%減の1,480億ドル、2016年上半期の投資額は、前年同期比13%減の2810億ドルとなった。

 日本の2016年第2四半期の投資額は、前年同期比18%増の75億ドル(円建てでは前年同期比5%増の8,100億円)となった。JLLは、2016年の世界の商業用不動産投資額の見通しを、前年同期比15%減の約6,000億ドルとしているという。

 詳しく見ると、2016年第2四半期のアメリカ大陸の投資額は、アメリカでの投資活動が減速し、前年同期比14%減の690億ドルとなった。EMEAの投資額は、イギリスにおける投資額が減少し、前年同期比横ばいの570億ドルだった。アジア太平洋地域の投資額は、世界的な先行き不透明感の影響を受け、前年同期比28%減の220億ドルとなった。

 日本の2016年第2四半期の投資額は、前年同期比18%増の75億ドル(円建てでは前年同期比5%増の8,100億円)となった。2016年上半期の投資額は、前年同期比12%減の171億ドル(円建てでは前年同期比17%減の1兆9,100億円)となった。

 日本国内の商業用不動産に対する投資意欲は国内外投資家を含め非常に高いものの、依然として物件の市場供給が限定的な状況が続いているという。また売手買手間の期待する価格にギャップがある状況も続いている。マイナス金利導入以降、金融機関の貸出意欲は高まっており、物件保有者をしてリファイナンスを容易にせしめる環境も市場取引成立を阻害する要因になっているものと考えられるとしている。

 投資家属性別にみると、今期もJ-REITによる物件取得の動きが目立った。マイナス金利導入後、日経平均を大きくアウトパフォームしているREIT投資口価格はJ-REITの資金調達環境をさらに良化させており、2016年上半期のJ-REITによる不動産取引量は前年同期比で増加、投資額全体の45%程度がJ-REITによる取得額となった。また、今後の市場成長が期待される物流施設やホテルに対する投資額が増加していることも特徴として挙げられるとしている。

 また、2016年通年の世界の商業用不動産投資額は、15%減の約6,000億ドルと予測している。(編集担当:慶尾六郎)