商社6社そろって最終増益 資源・エネルギーに加え非資源も成長

2026年08月17日 12:17

商社

商社6社の2027年3月期第1四半期決算は、全社が最終増益。資源・エネルギーに加え、インフラや化学、ICTなど非資源分野も業績を支えた(画像はイメージ)

今回のニュースのポイント

総合商社など6社の2027年3月期第1四半期決算が出そろい、三菱商事、伊藤忠商事、住友商事、丸紅、双日、兼松の全社が前年同期比で最終増益となりました。資源価格の上昇を背景に金属やエネルギー関連が利益を伸ばしたほか、インフラ、化学、機械、ICT、防衛、食品など非資源分野も業績を下支えしました。一方、6社はいずれも通期業績予想を据え置いており、今後は世界経済や資源価格、為替などが業績を左右する要因となります。

■ 商社6社そろって最終増益

 主要商社6社の2027年3月期第1四半期(2026年4〜6月)連結決算が出そろいました。

 各社の最終利益(親会社の所有者に帰属する四半期利益)の動向を一覧すると、以下の通りです。

・三菱商事:2,985億円(前年同期比47.0%増)

・伊藤忠商事:2,937億円(同3.5%増)

・住友商事:1,900億円(同11.2%増)

・丸紅:1,864億円(同20.7%増)

・双日:302億円(同43.4%増)

・兼松:117億円(同67.6%増)

 対象となった6社すべてで最終利益が前年同期を上回る好スタートを切りました。一見すると商社業界全体が一律の追い風に乗って業績を伸ばしたように映ります。しかし、その稼ぎ方を分解してみると、市況による恩恵だけでなく、各社が以前から強化してきた事業領域や個別要因の違いが複雑に絡み合っていることが分かります。

■ 資源・エネルギーが利益を押し上げ

 今回の好決算を支えた要因の一つが、資源・エネルギー分野の伸びです。

 三菱商事では、銅や炭鉱事業が伸びた金属資源が前年同期比約3.1倍の865億円に達したほか、エネルギー・パワーソリューションも76.8%増の719億円と大幅に伸長しました。

 伊藤忠商事でも、エネルギー・化学品が前年同期比で約3.3倍の643億円に膨らみ、金属も36.8%増の459億円と高い伸びを示しました。丸紅においても、商品価格の上昇に伴い金属が46.2%増の419億円となり、チリ銅事業や豪州原料炭事業における持分法投資利益の増加が利益を押し上げました。住友商事でも、銅価格の上昇や貴金属取引の好調が資源セグメントの増益に寄与しています。

■ 「資源高だけ」ではない 非資源も広く成長

 一方で、今回の全社最終増益という結果は、単なる「資源高による一極集中」だけでは説明できません。非資源分野も広範囲で成長し、業績を支えたことが今回の決算の特徴です。

 典型例が双日です。同社は金属・資源・リサイクル事業がオーストラリアの原料炭事業における生産効率不振などにより31.3%の減益となったものの、メタノール市況の改善などを捉えた化学事業が89.5%増、電力・ガス小売のグループ化などが寄与したエネルギー・総合インフラ事業が56.9%増、リテール・コンシューマーサービス事業が約3.7倍と非資源部門が大幅に伸長。資源分野の減益を非資源分野の増益が補い、最終利益は43.4%増となりました。

 兼松も同様に、製造業や公共・文教向けサーバーが伸びたICTソリューションや電子・デバイス、防衛関連の需要を捉えた車両・航空、さらには収益改善が進む畜産事業など、非資源を中心とした多角的な事業群が揃って増益となり、最終利益は67.6%増と高い伸びを記録しました。

 このほか、丸紅では電力・インフラサービスが71.0%増、エアロスペース・モビリティが98.1%増と倍増近くに膨らみ、伊藤忠でも機械が71.0%増、情報・金融が27.2%増と力強く伸びています。

 資源と非資源の複数の収益源が業績を支える商社の事業構造が、今回の決算でも改めて示されています。

■ 増益でも中身には差 一時要因も影響

 全社が最終増益となったものの、その決算内容を精査すると、税引前利益の動きや増減要因には各社で違いがあります。

 三菱商事の利益拡大には、資源市況に加えて傘下事業の売却益や持分法適用会社化に伴う再評価益といった一時的な利益が含まれています。

 住友商事は最終利益こそ11.2%増となったものの、前年同期に計上していた米国タイヤ販売事業会社の売却関連益の反動や有価証券損失の計上などが重なり、税引前利益ベースでは27.6%減と減益となりました。伊藤忠についても最終利益は3.5%増を確保したものの、前年同期にあった有価証券売却益の反動減などがあり、税引前利益は1.3%減とほぼ横ばい圏にとどまっています。

 最終増益という結果の裏には、「市況の追い風」「非資源の本業成長」「過去の一時利益の反動や今期の一時益」といった要素が複雑に組み合わさっている点に留意が必要です。

■ 好スタートでも6社すべて通期予想据え置き

 一方、6社はいずれも通期業績予想を据え置いています。通期の最終利益予想は以下の通りです。

・三菱商事:1兆1,000億円

・伊藤忠商事:9,500億円

・住友商事:6,300億円

・丸紅:5,800億円

・双日:1,300億円

・兼松:350億円

 丸紅は第1四半期時点で通期予想に対する進捗率が32.1%となりましたが、業績予想は据え置きました。また、1,000億円を上限とする自己株式取得を発表しています。

 世界経済や通商政策、資源価格、為替などは今後の業績を左右する要因となります。第1四半期は6社そろって最終増益となったものの、通期業績予想はいずれも据え置かれました。

■ 資源と非資源、「複数の稼ぐ柱」が支える商社

 今回の決算では、資源・エネルギー価格の上昇が大手商社の収益を押し上げる一方で、インフラ、化学、機械、ICT、防衛、食品など幅広い非資源事業でも利益の伸びがみられました。

 商社6社がそろって最終増益となった背景には、資源市況という追い風だけでなく、各社が長年広げてきた非資源分野からの利益貢献が存在します。一方で、全社が通期予想を据え置いており、世界経済や資源価格、為替など先行きには不透明な要因も残されています。

 資源と非資源という「複数の収益源」を持つ強みを、年間を通じてどこまで安定した利益成長につなげられるかが、今後の焦点となりそうです。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)