今回のニュースのポイント
厚生労働省の検討会は21日、職場の健康保持増進に関する報告書を取りまとめました。従来中心だった生活習慣改善などの「発症予防(一次予防)」に加え、疾病の「早期発見・早期治療(二次予防)」も一体となって推進する方針を示しました。二次予防の対象には、がんだけでなく、月経困難症や更年期障害などの女性特有の健康課題、歯科疾患、骨粗しょう症、眼科疾患などが幅広く盛り込まれました。事業者の自主的な取組を後押しする位置付けとし、検診機会の提供から精密検査の受診勧奨、治療と仕事の両立支援までを一連の取り組みとして推進する方向を示しています。
本文
厚生労働省の「事業場における労働者の健康保持増進の在り方に関する検討会」は21日、労働者の健康づくりに向けた新たな方針を示す報告書を取りまとめました。政府が「攻めの予防医療」による健康寿命の延伸を掲げる中、本報告書は労働安全衛生法に基づく指針(THP指針)の見直しを見据えた議論を整理したものです。これまで職場の健康対策は、運動や栄養指導などによる生活習慣病の発症予防、いわゆる「一次予防」が中心とされてきました。報告書では一次予防に取り組むことを前提としつつ、これに加えてがんをはじめとする疾病を早期に発見し、適切な治療につなげることで重症化や死亡を防ぐ「早期発見・早期治療(二次予防)」も職場の健康保持増進対策の一環として推進すべきであるとの方向性を打ち出しました。
今回の見直しで注目されるのは、職場で支える健康課題の守備範囲が大幅に広がった点です。二次予防の対象として、従来の生活習慣病関連だけでなく、がん、女性特有の健康課題(月経不順、月経困難症、過多月経、月経前症候群、更年期障害等)、歯科疾患、骨粗しょう症、眼科疾患といった幅広い項目が明記されました。特に女性特有の健康課題については、症状の具体例を挙げながら予防や受診に向けた健康教育の重要性が指摘されています。単に特定のがん検診を推奨するにとどまらず、働く人が直面する多様な健康課題について、予防や早期発見、適切な医療への接続を職場の健康保持増進の中で支えていく姿勢が示されています。
具体的な取り組みとしては、既存の法定健康診断をそのまま一律変更するのではなく、受診機会の提供から受診後のフォローアップまでを一体で進める仕組みが想定されています。企業自ら、または医療保険者と連携して健康診断の機会を活用したがん検診等の受診機会を提供するほか、労働者の居住する自治体が実施する検診の受診勧奨や、受診のための休暇の付与などが挙げられています。さらに重要な要素として、検診を行って終わらせるのではなく、検診結果に応じて精密検査の受診を勧奨することも盛り込まれました。こうした受診機会の提供や休暇の付与、精密検査の受診勧奨などを通じて、労働者が適切な医療につながる環境を整える考えです。
一方、業務起因性が必ずしも認められない疾病の二次予防については、必ずしも事業者のみが推進の責務を負うものではないと整理しています。その上で、各事業場の実情に応じて自主的かつ創意工夫をもって進めることが適当とされました。労働者の健康への投資は経営にも資するとの考え方を示しており、報告書に示されたTHP指針の改正案でも、健康経営などの取り組みを将来的に収益性を高める投資と捉え、労働生産性向上の観点からも重要だとしています。国に対しても経済産業省の健康経営施策と連携し、「攻めの予防医療」に取り組む企業の見える化や社会的評価の向上を推進するよう求めています。
また、報告書は非正規雇用を含めた「すべての労働者」の健康保持増進を進める方針を示しています。医療保険者が実施するがん検診等の対象にならない短時間労働者に対しても、自治体が実施する検診制度が利用可能であることを案内するなど、雇用形態にかかわらずアクションにつながる配慮が求められます。加えて、疾病が発見された後も離職せずに治療を受けながら働き続けられるよう、「治療と就業の両立支援」の取組をさらに推進することが重視されています。今回の報告書により、職場の健康対策は「一次予防(発症予防)」に「二次予防(早期発見)」を加え、さらには「早期治療と仕事の両立支援」までを切れ目なくつなげていく方向性が明確になりました。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













