カーナビもSNS化で情報を共有する時代へ

2013年05月12日 16:43

 今やドライブには欠かせないものとなったカーナビ。近年、スマートフォンやタブレットPCの普及に伴って、それらのナビアプリを利用する人も増えている。無料のアプリでも、情報が豊富でそこそこ使えると評判だ。わざわざ高価な車載ナビを購入しなくても、アプリのナビで充分という声もあがるほど出来が良い。
 
 しかしながら、やはり本家の車載ナビはアプリよりも数歩先を行っている。「カロッツェリア・サイバーナビ」で業界の先駆的存在であるパイオニアが6月に新発売するナビは、その典型的なものだといえる。

 パイオニアはこれまでも、いち早く「通信」や「AR(拡張現実)」を使用した機能を搭載することで車載ナビの新しいカタチを次々と提案してきたが、今回発売するAVIC-VH0009HUDとAVIC-ZH0009HUDも、ARと情報ネットワークを融合して新しい可能性を示す、近未来カーナビだ。

 この製品の最大の目玉は、なんと言ってもユーザー間で情報を共有する「スマートループ・プローブ情報システム」。聞きなれない言葉だが、これは同社のナビを搭載した一台一台のクルマをセンサーとして活用し、走行中にそれぞれのクルマからのリアルタイムなデータを収集することで、これまで得られなかった膨大な量の情報を集積し、全体を把握することを目標とするシステムのことだ。

 今回のシステムでは、その時、その場所のリアルタイムな情報「リアルタイムプローブ」と、それぞれのユーザーの経験などをサーバーにアップして収集した情報「蓄積型プローブ」の両方を活用するハイブリッドプローブを採用。これらの情報を適宜、最適化して利用することで、より精密な情報が手に入る仕組みになっている。

 その根幹となるのが、「スマートループ アイ」。人気スポット周辺やその近辺の駐車場情報、渋滞が頻繁に起こる交差点、全国の高速道路施設などを、「スマートループ アイ スポット」として設定し、車載カメラで撮影した交通状況などの映像を静止画の画像情報として自動的に収集し、ユーザー間でそれを共有する。

 今までの一般的カーナビでは、メーカーがあらかじめカーナビ本体に搭載した固定的な情報しか見る事が出来なかったが、これからは同社のナビシステムを搭載した車がそこを通る度に情報がリアルタイムで更新され、その情報をシェアし合う。まさに最近流行しているソーシャルネットワークサービスのカーナビ版というわけだ。

 また、その情報はフロントガラスの前方に映し出し、ドライバーの目の前の風景に重ねて表示する「AR HUD(ヘッドアップディスプレイ)ユニット」に対応。運転しながら、瞬時に必要な情報を把握できる。

 さらに、実写映像にAR情報を重ねて表示する「ARスカウターモード」の検知性能の向上や、新たに搭載された「横断歩道予告検知表示」機能、思いついたキーワードを発話するだけで目的の場所や施設などをオンライン検索できる「フリーワード音声検索」など、「スマートループ アイ」だけでなく、充実した機能内容の製品となっている。

 スマートフォンやタブレットのナビアプリも確かに優秀だが、電波状態や運転中に操作できないなどの制約も多い。安全且つストレスの少ないカーライフのためには、やはり最新のカーナビに軍配が上がる。(編集担当:藤原伊織)