スマートフォンアプリも、いよいよ本格カーナビの時代へ

2013年05月19日 16:29

 一昔前に比べて、カーナビの有用性は高まってきた。

 以前は反応も遅い上に情報量も少なく、その少ない情報でさえも、すぐに古くなってしまう。しかも更新にもずいぶん手間と費用がかかっていた。大変便利なシステムではあるものの、肝心な場面で頼りにならなかったり、ナビに頼らない方がスムーズに走行できたなどという経験をもつユーザーも多いだろう。

 ところが、ここ数年でカーナビの性能は格段に向上している。その大きな理由のひとつは、スマートフォンやタブレットPCの爆発的な普及によるところが大きい。

 WiFiなどの回線を通じてナビアプリを利用したり地図情報を取得したり、カーナビさながらの高度な操作を、ほとんど無料で利用できるとあって、ナビアプリの利用者が急増。年に数回使うだけなら、これで充分というユーザーも少なくない。しかも、ネット回線を通じて情報は常に最新の状態に更新されているので、道路情報はもちろん、ガソリンスタンドのその日のガソリンの価格に至るまで、リアルタイムの情報が手に入る。

 しかしながら、従来のナビメーカーも、手をこまねいてナビアプリの台頭を許していたわけではない。購入した後も、どんどん追加機能をダウンロードして進化可能なことで人気を博したパナソニック<6752>のヒット商品「Gorilla」や、充実したAV機能と的確なナビゲーションで定評のあるパイオニア<6773>のカロッツェリア楽ナビシリーズなど、ナビ性能のみならず、車載ナビならではの満足感と付加価値を提供して、差別化を図って進化しているのだ。

 そもそも、アプリのナビにはカーナビとして致命的な欠点があった。それは「電波の届かないところでは使えない」ということだ。運転している最中、山の中やトンネルにでも入ろうものなら、途端にナビが止まり、情報が途切れてしまう。この点ではやはり、車載ナビに敵わないものがあった。

 ところが、今度は通信圏外でもスムーズにナビゲーションができ、通信圏内ではこれまで同様、最新の地図やリアルタイム情報が利用できる驚愕のナビアプリが現れたのだ。

 KDDI<9433>とナビタイムジャパンは、auスマートフォンで使える有料アプリサービスとして、iPhoneも、Androidにも対応した「auカーナビ」を5月14日に公開した。月額利用料は525円。

 交差点立体表示やレーン表示はもちろん、高速道路走行時のサービスエリア・パーキングエリア情報、ルート比較表示、約500万件のスポット情報、渋滞情報などの道路交通情報や、駐車場満空情報、ガソリンスタンド価格などのほか、横画面表示や夜モードにも対応しており、車載カーナビのように利用できる。

 中でも特筆すべきは、スマホのアプリなのに通信できなくてもナビゲーションが可能なことだ。地図を端末に保存しているので、電波の弱い地域や通信圏外を走行しているときでも、ストレスなく利用できる。

 このauカーナビの登場で、いよいよアプリナビと車載ナビの差が縮まってしまった。車載ナビの値段を考えると、月々525円はコストパフォーマンスも高い。ナビ以外の機能やファッション性、ステータス的な面、スマートさでは車載ナビに軍配が上がるだろうが、実質的な面ではアプリナビが便利で手軽なのは言うまでもない。

 auカーナビがユーザーの支持を得て台頭するのか、それとも車載ナビが更なる進化を遂げて生き残るのか。注目したいところである。(編集担当:藤原伊織)