アキュラホームが分譲地内に実際に建設してプロジェクトの結果を確認した試行棟。通常1380万円の本体価格を100万円引き下げることに成功した。コストダウンにもかかわらず、1200mmもの深い軒先や大きなバルコニーなど高い価値観を提案する住宅でもある。
2014年4月の消費増税をまえに、この9月まで、住宅の駆け込み需要が起きた。大手ハウスメーカーなどでは過去最高の年商を記録したところも多いという。が、しかし10月以降は当然ながら反動による大幅減となっているのは言うまでもない。
このような状況下、既に2013年初夏から全国の社員および関連団体・職人、学会などと協力して「住まい作りの改善(KAIZRN)案」を収集してきたアキュラホームの「戦略商品開発プロジェクト」の成果を示す試行棟が公開された。
全国から集まった改善案は3000件以上。そのなかから実現可能な施策を盛り込んだ住宅を実際に試行棟として建設して「コストダウン」と「バリューアップ」を検証する“試みの住居”である。
今回公開された試行棟の改善策は「徹底的に払わなくて良いお金を排除する」ことを盛り込み、前述のコストダウンとバリューアップを目指し、細部にわたる施策にこだわりを感じさせる住宅だった。改善策のなかには「業界では“当たり前だ”とされていた施工法を180度転換する」かのような施策から、数千円単位の無駄を排除したような工法もある。同社の宮沢俊哉社長が言う「コツコツと愚直に50以上の改善案を積み上げた」試行棟である。
ここで、その試行棟におけるすべての施策・工法を紹介することはできない。が、基礎工事などで発生する残土処理で13万円の経費を削減した工法。排水の配管を見直し8万円のダウン。雨樋の変更で経費3万円のゲインなどが挙げられる。また、コストダウンを進めながら深い軒先寸法(1200mm)の確保やバルコニーの有効寸法拡大(奥行き1200mm以上)など、価格以上の価値観を提案しているのもこの試行棟の特徴だ。
「正直に言うとここまでコストダウンが出来ると思ってはいなかった。本音では50万円程度の削減と考えていた」と宮沢社長。しかし、「驚いたことに、100万円の無駄を排除できた」という。また、「今回の試行棟建設で社員全員が“KAIZEN”を楽しみながら実践していた。これなら更なるコストダウンが可能だと思う」と同社長。今後は全国で地域性に配慮した試行棟建設を進め、来年3月には7棟が完成する予定だ。
「消費増税、少子高齢化はいわずもがな。心配なのは2020年の東京オリンピック終了後の景況だ。今回スタートしたプロジェクトは、7年後をも見据え“消費者の価値観変化に対応したトライ&エラー。そこで検証しながら、豊かなライフシーンを提案する」と宮沢社長は締め括った。(編集担当:吉田恒)