政府はこのほど産業競争力強化法施行令を閣議決定し、中小・ベンチャー企業の特許料を約3分の1に軽減するなどの大幅な軽減措置を決定した。中小企業による国内外の特許出願を促進し、さらなるイノベーション推進を図ることが狙いだ。
我が国において、特許出願総数に占める中小企業および個人の出願割合は米国の半分以下(日本12%、米25%)であるなど、依然として技術の特許化における裾野の広がりは限定的であり、出願・権利化の支援が求められている。こうした状況を改善するために、政府は作秋の臨時国会で産業競争力強化法を成立させ、中小企業などの特許料軽減を決めた。
これにより中小・ベンチャー企業が国内出願を行う場合の「審査請求料」と「特許料」について、平均的な内容の出願で約38万円が約13万円に軽減される。また国際出願を行う場合には「調査手数料・送付手数料・予備審査手数料」が約11万円から約3万5千円に軽減されることになる。
経済産業省の試算によれば、我が国における平均的な内容の国内・国際出願には約60万円かかるが、措置を利用すれば約21万円程度に軽減される。この料金水準は日米欧中韓の5大特許庁の中で最も低い料金水準になるという。
対象者は①小規模の個人事業主(従業員20人以下商業サービス業は5人以下)②事業開始後10年未満の個人事業主③小規模企業(法人)④設立後10年未満で資本金3億円以下の法人――となっている。
2014年4月1日に施行し、18年3月までの特許審査請求または国際出願を行う場合が対象。
これまでの軽減措置は国内出願に限り、2分の1に軽減するという内容だった。今回決められた新たな措置は、国内・国際出願ともに対象とし、軽減率も3分の1とするなど従来より大幅に踏み込んだ内容になっている。経済のグローバル化が一段と加速する中、新たな軽減措置により我が国の技術改革が一層発展することが期待される。(編集担当:横井楓)