前週によく現れた値動きのパターンは、前日終値と始値の間では値はよく飛ぶがザラ場中は値動きが乏しい、というものだった。前週の週間高値と安値の差は447円もあったが、それに比べると5日間の日中値幅は104円、105円、70円、116円、92円と小さかった。16日などは前場に上下35円しか動かないまま2時間以上が経過した。午前9時から午後3時までの間には、国内の経済指標が何本も発表され、政策にからんだ国内の要人の発言も速報され、前週は3月期本決算の発表が後半のピークを迎えてザラ場中の発表も少なくなかったにもかかわらず、である。
それはかいつまんで言えば、「日経平均は夜の海外要因では活発に動くが、昼のザラ場中の国内の材料では全然動かない」ということ。海外でも、東京市場と時間がかぶる中国などアジア発の材料でも動きが鈍かった。NY市場の株価、それも「モメンタム銘柄」の値動きと、為替変動と、CMEの日経平均先物清算値あたりで、その日の日経平均の水準がほぼ決まっていたとも言える。中でも特に大きな影響を及ぼしたのがNY時間の為替のドル円レートだった。
そんな日経平均の「夜の帝王、昼間はシエスタ」という傾向は今週も変わらないと思われる。ドル円が101円台後半だと14000~14300円あたり、102円台に乗せれば14300~14500円あたりと、為替からだいたいの値幅の予測がつく。今週は前週よりも国内経済指標の発表の数が少なく、3月期本決算の発表も保険業界を残してほとんど終わっているので、ザラ場中の値動きが100円前後しかない退屈な傾向はなおも続きそうだ。もっぱら海外の要因に動かされては「東京市場は本当に日本株のマーケットなのか?」と思いたくもなりそうだ。
今週の為替レートは前週の続きで、ドル円レートは天気予報にたとえれば「101円台、ときどき102円台」と仮定すると、日経平均は14000~14500円の範囲で動くだろう。念のために5月16日現在の日経平均終値14096.59円のテクニカルポジションを確認しておくと、すぐ上に9日のSQ値14104円がある。これは前週、下値サポートの役割を果たしてくれなかったが、心理的な節目になる14000円がその代役を務めてくれたので、引き続き期待する。移動平均線は全て上にあり、5日線は14275円、25日線は14296円、75日線は14518円、200日線は14652円。前週は13日に75日線が上値を抑えて抵抗をみせたが、今週も14518円あたりが限界になるだろう。ボリンジャーバンドの25日移動平均線の「+1σ(第1標準偏差)」も14481円に位置している。日足一目均衡表の「雲」は14727~14977円で、はるか上空に浮かぶ。
ということで、今週の日経平均終値の変動レンジは14000~14500円とみる。何とも白けた今週の展望だが、今は変化と変化の間に空いた狭間の時期。去年の5月のような大激動は、またいつかきっとやってくる。(編集担当:寺尾淳)