【日経平均】140円高で日足一目均衡表の「雲」の上に出る

2014年05月26日 20:16

 キヤノン<7751>はクレディスイスがレーティングを引き下げても2円高。引き上げたニコン<7731>はもちろん67円高。半導体製造装置(後工程)のTOWA<6315>は東海東京証券がレーティングを2段階も引き下げ17円安で値下がり率6位になった。神戸製鋼<5406>は、燃費規制による自動車の軽量化ニーズをにらみアメリカでアルミ板工場を建設するニュースがあり2円高。22円高で値上がり率16位の日本冶金工業<5480>は、羽田空港と六郷川対岸の川崎市の日本冶金川崎製造所付近の間に新しい橋ができるというニュースが好材料視された。

 業種別騰落率30位と悪かったセクターが医薬品で、震源地は大日本住友製薬。期待の新薬、結腸直腸がん治療薬の臨床試験を中断して実質上の開発中止に追い込まれ、野村證券とSMBC日興証券がレーティング、目標株価を引き下げたため300円安で年初来安値を更新し値下がり率1位。その大株主の住友化学<4005>も連れ安し20円安で年初来安値を更新し値下がり率2位。大手ではエーザイ<4523>が17円安、武田薬品<4502>が5円安で日経平均のブレーキ役を演じた。

 サンリオ<8136>は132円高と続伸。物販部門を増強する戦略がライセンス部門からの事業シフトと誤解されたというコメントを出していた。サービス付き高齢者住宅のメッセージ<2400>は140円高で年初来高値を更新し3日続伸。大和証券が23日にレーティングを引き上げ注目された。ロボット関連のハーモニックドライブ<6324>は東海東京証券がレーティングを引き上げて385円、12.60%の大幅高になっていた。

 個人投資家に人気のネット・ゲーム・コンテンツ関連銘柄は前週までは元気がなかったが、この日は値上がり率ランキングのベスト10にぞろぞろ入った。2位のKlab<3656>は「ラブライブ!」ユーザー数が300万人を超えたと発表しストップ高の100円高、3位のenish<3667>は250円高、4位のエイチーム<3662>はストップ高の705円高、5位のリブセンス<6054>はストップ高の100円高、6位のボルテージ<3639>は「新・生存率0%!地下鉄からの脱出」が無料アプリランキング1位になって注目され177円高、7位のイーブック<3658>は107円高、9位のネクシィーズ<4346>は72円高、10位のネオス<3627>は70円高だった。

 新興市場の銘柄もミクシィ<2121>が280円高で年初来高値更新、クルーズ<2138>が165円高、ガンホー<3765>が8円高、日本通信<9424>がストップ高の100円高で年初来高値を更新するなど個人投資家の買いで盛り上がり、東証マザーズ指数は4.50%、日経ジャスダック平均は1.53%それぞれ上昇した。主力株だけでなく中・小型株にも新興市場にもにぎわいが戻り、まさに「個人の買い復活」の日になった。

 この日の主役は最近、連日のようにニュースがなるM&Aで、23日に発表された名村造船所<7014>による佐世保重工業<7007>の完全子会社化。株式交換で10月1日付で経営統合するが、統合比率が1対0.128では事実上、名村造船所による吸収合併で、旧海軍工廠がルーツの造船業界の名門、佐世保重工業は9月26日で上場廃止になる予定。買収側の名村造船所は17円高、被買収側の佐世保重工業は7円高だった。

 円高で造船不況が吹き荒れた1978年、当時の福田赳夫首相の要請で、佐世保重工業に来島どっく(現・新来島どっく)社長の坪内寿夫氏が乗り込み、平社員の給与にまで手をつける苛酷なコストカットを断行してメディアが騒いだ出来事も、36年も経過すると関係者のほとんどは退職したり鬼籍に入られたり。作家の高杉良氏が「救済しなければ確実に倒産していた」と指摘する一方、「今で言うブラック企業の元祖だった」と言われることもあり毀誉褒貶相半ばするが、完全子会社化でそんな過去にも区切りをつけられるか。(編集担当:寺尾淳)