不動産投資「買い時だと思う」が減少 今後有望なのは新駅計画の品川・泉岳寺エリア

2014年06月08日 18:49

 消費税増税後の4月には各種の消費支出が落ち込みを見せたが、不動産投資市場でも増税は投資家の心を冷え込ませたようだ。野村不動産アーバンネットの調査によれば、今が投資用物件の「買い時だと思う」投資家は15ポイント減少して42%、一方で「買い時はしばらく来ない」が15ポイント増加して41%となった。今後有望と思われる不動産投資先は、新駅開業計画のある「品川・泉岳寺エリア」や東京五輪で期待の高まる東京湾岸エリアとなった。

 調査は投資用不動産サイト「ノムコム・プロ」会員を対象に行い、588人から回答を得た。2009年から実施し、今回が6回目となる。

 投資用物件の買い時感については、「買い時だと思う」「間もなく買い時が来ると思う」を合わせると58.6%で約6割が買い時と回答したものの、「買い時だと思う」が1年前の前回調査に比べ15.7ポイント減少し42.3%、「買い時はしばらく来ないと思う」が前回調査より15.5ポイント増加し41.3%という結果となった

 1年後の不動産価格の予測は、「上がる」が51.5%と前回調査に比べ14.0ポイント減少したものの、「下がる」の9.9%を大きく上回り、不動産価格は「上がる」と半数以上の方が予測している結果となった。

 「金利は上がると思う」が37.1%と前回調査から38.7ポイント減少した一方、「ほとんど変わらないと思う」が前回より37.4ポイント増加し、59.5%という結果となった。

 この先の1年間で投資をしたい投資商品については、前年と比較すると、「不動産投資(前年比3.6ポイント増)」、「REIT(前年比2.7ポイント増)」、「FX(前年比1.4%増)」が微増する結果となった。71.1%の人が不動産投資をしたいと回答し、不動産投資への意欲は旺盛といえる。一方、「該当なし」が前年比で5.3%増加した点にも注目したい。

 不動産投資先としてこれから有望だと思うエリアの1位は「品川・泉岳寺エリア」で、山手線の品川駅~田町駅間に新駅ができる計画があることで注目されている。2位、3位、4位は東京五輪開催で期待が高まっている東京湾岸エリア「晴海・勝どき・月島エリア」、「豊洲・東雲エリア」「有明・お台場エリア」という結果となった。

 関西圏の1位は大阪駅の北側の「うめきたエリア」で、先行開発区域である「グランフロント大阪」が2013年4月に開業し、今後の開発にも注目が集まっている。

 不動産投資家の投資意向を見ると、東京オリンピックを見すえて「買い時だ」と積極的な姿勢を見せる人がいる反面、少子化による人口減などから「買い時はしばらく来ない」と悲観する人まで様々だ。増税後の落ち込みは一時的なものだとしても、少子化による人口減少は一朝一夕には解決しない。不動産投資についても、短期的なトレンドと同時に中長期的な視野に立った判断が必要になるだろう。(編集担当:横井楓)