大平洋金属＜5541＞は中間期、通期の営業損益見通しを赤字に下方修正するネガティブサプライズ。みずほ証券、JPモルガンが投資判断を引き下げストップ安比例配分の80円安で値下がり率2位。日本製紙＜3863＞は後場に4～6月期決算を発表。経常利益は28.3％増でも純利益は37.9％減だったので急落し62円安で年初来安値を更新した。
サッポロHD＜2501＞は前日、12月期通期の最終損益を70億円下方修正して20億円の赤字になる見通しを発表して8円安。前期は94億円の黒字。「極ZERO」の酒税を自主的に修正申告した問題では4～6月期に特別損失116億円を計上し1～6月期の最終損益は109億円の赤字。もっとも営業は好調で、売上高は4％増、営業利益は2.1倍だった。サントリー食品＜2587＞の1～6月期決算は、売上高15％増、営業利益26％増、純利益24％増と快調で195円高で年初来高値更新。通期業績、年間配当見通しは据え置いた。
後場に大手商社2社が4～6月期の決算を発表した。三井物産＜8031＞は純利益が3.9％減の1278億円だったが市場予測の1000億円を上回り4円高。伊藤忠商事＜8001＞は純利益が18.4％増でプラスに浮上し2円高だった。ユナイテッドアローズ＜7606＞は4～6月期の最終利益が17％減益で160円安で6日続落。カカクコム＜2371＞は「食べログ」が貢献し4～6月期の最終利益が7％増で49円高。ローソン＜2651＞はシネマコンプレックス（複合映画館）のユナイテッド・シネマを買収すると報じられ130円高。全国に36カ所あり、イオン＜8267＞傘下のイオンシネマ（78カ所）、東宝＜9602＞傘下のTOHOシネマズ（67カ所）に次ぐ国内3位の規模。日本マクドナルドHD＜2702＞の7月の既存店売上高は前年同月比17.4％減で44円安。中国産鶏肉問題の発生前から6カ月連続で前年同月を下回っている。
国土交通省が「交通政策基本計画」を発表し、羽田、成田からの海外就航都市を2013年の88都市から140都市に拡大する方針を示した。しかし海外LCCを積極誘致するのでJAL＜9201＞は40円安、ANAHD＜9202＞は売買高14位だったが5.3円安。ライアンエアーやイージージェットも就航するか？ スカイマーク＜9204＞は、今や国内LCC拠点になった成田空港発の国内線からの撤退を発表し10円安で年初来安値を更新した。
ゲーム・コンテンツ関連は年末のヒット商品番付で横綱昇進有望な「妖怪ウォッチ」関連銘柄がヒートアップ。代表格のバンダイナムコHD＜7832＞は4～9月期の営業利益を50億円上方修正し、通期の「妖怪ウォッチ」関連売上見通しをほぼ倍の145億円に改めた。モルガンスタンレーが目標株価を引き上げて売買代金3位に入り354円高で年初来高値を更新して値上がり率2位。ハピネット＜7552＞も売買代金4位に入り219円高で年初来高値を更新し値上がり率4位。アニメを放映するテレビ東京HD＜9413＞も36円高。しかし任天堂＜7974＞は125円安で仲間はずれ。「妖怪ウォッチ」のゲームは「ニンテンドー3DS」用だが株価がブームについていけない。
新興市場は前日に続き軟調で日経ジャスダック平均は0.99％下落、東証マザーズ指数は3.00％下落。その中で日本マイクロニクス＜6871＞は10～6月期の営業利益4倍強という好決算が出て510円高だった。
この日の主役は、好決算のトヨタやクボタや「妖怪ウォッチ」関連以上に東京市場へのインパクトが大きかったソフトバンク。株価は253円安で3.5％の大幅安だった。イリアド社による資産査定をTモバイルが拒否したニュースが事前に流れたので、朝方にまずダウ・ジョーンズが報じた「スプリントがTモバイル買収を断念」という第一報を半信半疑で聞いた市場関係者は少なくなかった。ところがブルームバーグが買収協議打ち切りを報じ、日経も記事を配信したので、「どうやら本当らしい」とソフトバンク株の下落幅は一時5％を超えた。
FCC（連邦通信委員会）が首をタテに振りそうにないのが理由だが、司法省の反トラスト法（独占禁止法）審査でも不利と判断したらしい。イリアド社も「漁夫の利」をおさめることなく買収話は振り出しに戻りそう。マーケットはソフトバンクの財務上の懸念がなくなるメリットより、海外事業展開を練り直す必要に迫られるデメリットを問題視した。
なお、ソフトバンクは日経平均の計算の際の「株価×みなし額面」の「掛け目」が過去の株式分割を考慮して3倍なので、日経平均に対する株価上昇の寄与も3倍なら、下落の寄与も3倍。そのため大幅安が日経平均大幅安に直結する度合いはファナックやファーストリテイリング＜9983＞よりも大きい。（編集担当：寺尾淳）
