クロカン四駆の基本、ランクル70系が復活した理由

2014年09月07日 13:27

Land Cruiser

復活したランドクルーザー70バン、オプションの電動ウインチを装備した本格クロカン四駆だ。

 1984年にデビューし、2004年に販売中止となったトヨタの本格ヘビーディーティ四駆ランドクルーザー70系が復活した。ファンの熱い声に応えた、というが……。

 トヨタは昨年グローバルで1000万台以上のクルマを販売し、世界一の自動車メーカーとなった。その基礎を築いたモデルのひとつがランドクルーザー(ランクル)だったことはあまり知られていない。

 トヨタは北米進出を目論んで、1957年にクラウンを、翌58年にランドクルーザー20系をアメリカ西海岸中心に試験的に輸出した。残念ながら非力でクオリティも米国車に比べて低いクラウンは米国人からまったく相手にされず、あっさりと撤退したものの、ランクル20は廉価な日本製ジープとして着実に売れた。

 その後、アウトドアブームに乗ってランクル40系がヒットし、トヨタの北米進出を勢いづかせたのである。

 その本格派クロカン四駆の末裔であるランクル70系は、冒頭で述べたように日本では販売が中止されていたが、中近東やアフリカ、オーストラリアなどには輸出されていた。日本や欧米ではクロスオーバーSUVというオシャレな都会派四駆ともいえるモデルが跋扈しているが、それらのクルマとは一線を画す無骨で頑丈なランクル70系には熱烈なファンが多い。北海道の農場などでは、オールシーズン型の働くクルマとして重要な役割を担っているという。

 トヨタで一度、販売中止となったクルマが復活した例はトヨタ・シエンタでもある。が、販売がそれほど見込めないランクル70系を復活販売させた理由は何だったのか? それは、「ランクル70系のファン、加えて官公庁や農家、林業などに携わっている方々の声が背中を押してくれた」からだという。

 今回の販売復活に際して、日本では販売したことがなかった5人乗りのキャビンを持ったピックアップトラックを販売するのもこうした声に応えた結果だ。本格的なクロスカントリー型四駆の乗用トラックは、まさに働くクルマとして最適な一台だろう。

 復活を果たしたランクル70のメカニズムに少しだけ触れておこう。搭載エンジンは1GR-FE型と呼ぶハイオク仕様の4リッターV型6気筒ガソリンエンジン、出力&トルクは231ps/36.7kg.mを誇る。ちなみに燃料タンクは満タン130リッターで、まさにクロカン四駆の本格仕様で脚が長い。残念ながら往年人気だったディーゼルターボはラインアップしない。

 組み合わせるトランスミッションは5速マニュアルのみ。この割り切りがファンを唸らせる。四輪駆動システムはパートタイム式で四輪駆動へは手動で切り替え、さらにハイ&ローが選べる。本格派クロカン四駆らしく前後デファレンシャルのロック機構や前輪フリーホイール&ロッキングハブが備わる。前後サスペンションはリジッド(固定軸)で、後輪側のバネはリーフスプリング(板バネ)だ。

 ランクル70の販売は来年6月末までの期間限定。販売価格はバン360.0万円、ピックアップ350.0万円で、両車ともに1ナンバー登録車となる。つまり、貨物車である。(編集担当:吉田恒)