ヤマハが“第3の移動体”とする新コンセプト三輪「TRICITY」が日欧で好調に推移

2014年09月19日 12:37

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YAMAHA「TRICITY」、価格は35万6400円。車両区分は原付二種となり、運転するには小型限定普通二輪車(AT含む)免許以上

 ヤマハ発動機<7272>は2013年から中期経営計画を遂行しているが、そのなかで商品政策として“独創的なコンセプト提案”という項目がある。昨年11月の東京モーターショーでヤマハ発動機のブースで人気を集めた三輪バイク「TRICITY(トリシティ)」は、まさにこうした商品開発の一環から生まれた。「TRICITY」は、国内で7月に正式発表され、9月10日から販売されている。

 今回、同社の中期経営計画の中間発表のなかで、この新コンセプト三輪バイクの反響にも触れていたので報告する。

 まず、LMW「TRICITY」の概要を記す。TRICITYは、“ニュースタンダード・シティコミューター”をコンセプトに開発されたモデルだ。LMWとは「Leaning Multi Wheel」で、前2輪がLean(傾いて)スムーズにコーナリングする新しい形のモビリティとして開発した製品の第1弾である。スクーターと同様の扱いやすい操作性を備えたモデルである。

 パワーユニットは125cc単気筒エンジンで、その最高出力は11ps/9000rpm、最大トルク10Nm/5500rpm。組み合わせるトランスミッションはCVTとし、発進から低速域ではスムーズで中高速度域では伸びのある滑らかな走行を実現したという。車両価格は35万6400円。なお、車両区分は原付二種となり、運転するには小型限定普通二輪車(AT含む)免許以上が必要となる。

 TRICITYの最大の特徴であるLMW機構は、「パラレログラムリンク」と「片持ちテレスコピックサスペンション」からなっている。リーン(傾斜)させる機能と、左右サスペンション機能を独立させながら、余裕のあるバンク角とハンドルの切れ角を実現した。また、左右独立フロント・サスペンションは、荒れた路面に対する高いギャップ吸収性能があり快適な乗り心地に貢献する。

 同車の外形寸法は全長×全幅×全高1905×735×1215mm、シート高は780mm。女性でも足付き性がいい設定となっている。車両重量は152kg。カタログ燃費は、2名乗車時に時速60kmで走行した際の定地燃費値が35.8km/リッターで、WMTCモード値が38.8km/リッターだ。

 前述したように9月10日から国内販売を開始したが、年内の販売計画4000台に対して、発売3日後の9月12日現在で5000台以上の受注と非常に好評。ユーロ圏でも計画比120%の受注で推移している。生産国はタイで4月から先行発売されたが、「タイ国内では、すでに四輪車を所有するお金持ちの2台目の乗り物として購入される例が多い」と同社・柳弘之社長は会見で語った。

 ヤマハ発動機では、LMWを“第3の移動体”と位置づけて、二輪車の「軽快感」に三輪車の「安定感」による走りを追求した新型車の開発を進める。(編集担当:吉田恒)