自動車も二輪車も若者離れで売れないという声を、ここ数年、散々聞かされてきた。はたしてそうなのだろうか? 2014年11月まで1年間の、国内メーカーの二輪車生産台数を調べてみると、全メーカー合計で65万6068台(前年同比109.62%)。アベノミクスは失敗との声が叫ばれるなか、生産台数は着実に伸びていることがわかった(自動車工業会調べ)。
さらにメーカーごとの生産台数を見てみると、ヤマハ発動機<7272>の23万5919台、続くスズキ<7269>の17万296台、ホンダ<7267>の15万5251台、カワサキ<7012>の9万3589台と、二輪車全体ではヤマハが圧倒的な差を付けているのだ。
では、原付き市場はどうなのだろう? 生産台数を見てみると、全メーカー合計で8万5050台(前年同期比104.93%)と、若干ではあるが上向き傾向にあった。メーカーごとでは、台数の多い順に、スズキが5万2388台(前年同期比105.05%)、ホンダが2万5314台(前年同期比109.68%)ヤマハ発動機が6335台(前年同期比100.5%)となり、二輪車全体の生産台数がトップのヤマハが、原付きではなんと最下位になっているのだ。ちなみにカワサキは原付きを生産していない。
原付きのラインナップは、スズキ17車種、ホンダ15車種、ヤマハ8車種となり、これは原付きの生産台数順と同じ並びになっている。各メーカーの特徴としては、スズキは税込み15万円以下のエントリーモデルをメインに販売し、ホンダは15万円以下のモデルは1台のみで、30万円近いエイプ50やモンキーといった、ロードスポーツ、ファミリー/レジャーなど、様々な種類のタイプ販売している。それに対してヤマハは15万以下のモデルは出しておらず、スクーターでも20万円前後と高級志向のモデルを販売する。このラインナップの数や志向性の違いが生産台数に結びついていると考えられる。
原付きのカテゴリーにおいてはスズキが圧倒的に強く、ヤマハの8倍ほどの台数を生産しているが、その理由の一つとして、スズキは普段の足として使える、エントリーモデルのスクーターを数多く出していることがあるだろう。それに対してヤマハのラインナップを見ると、女性ライダーを意識したり、オシャレで個性的なモデルが目立つ。その中の一つが「Vino(ビーノ)」シリーズだ。
今回、女の子らしいスタイルを好む女性に向けた「Vino Girl」と、ボーイッシュでアクティブな女性に向けた「Vino Boy」の2つを2015年モデルの「Vino XC50D」として2月14日に発売する。レトロポップなカラーを基調とし、女性をターゲットにしているとはいえ、オシャレな男性にもマッチングする。また、フロントバスケットを標準装備した「ビーノ モルフェXC50H」も同時に発売する。
さらに30年以上ものロングセラーでもあり、スタンダードモデルとして人気の「ジョグCE50」シリーズに、新色「ライトイエローイッシュグレーメタリック9」(ゴールド)など、全5色を設定した、2015年モデルも同時に発売。価格も16万円台からと購入しやすい価格設定となっている。また、排気量は125ccになるが、“SHOW OFF SPORTY”と“URBAN SPORTY”系カラーを選べる「シグナス-X XC125SR」の2015年モデルも同時に発売する。
ヤマハは、女性をターゲットにしたモデルや、昨年発売されて話題になったフロント2輪の「TRICITY」など、ニッチで個性的なスクーターを作り続けている。そのスピリットには、売れる物を作るというより、自分たちが乗りたいものを作るという姿勢が伺え、リーディングカンパニーとして目が離せないメーカーだ。(編集担当:鈴木博之)