熊本県に本社を構える企業の売上高合計は9兆3,662億7,100万円 地震の影響で今後の業績悪化が懸念

2016年04月21日 08:53

 4月14日以降の巨大地震は、熊本県内に本社を構えている企業にも大きな影響を及ぼしている。14日の地震以降も余震などが相次ぎ、死傷者や避難者、停電など大きな被害が発生している。企業活動においても、会社や工場の被災だけではなく、部品など仕入の供給が滞ることで事業に大きな影響を及ぼすケースが出ている。被災した地域経済の停滞が長期化すれば九州全体だけでなく、全国規模に影響が波及する恐れがあり、迅速な被害状況の把握、支援策が求められている。

 東京商工リサーチでは、熊本県内に本社を構えている企業数や従業員数、業種などを分析した。それによると、熊本県に本社を置く企業数は3万5,173社だった。市町村別でみると、熊本市1万7,723社(構成比50.3%)、八代市2,255社(同6.4%)、天草市1,511社(同4.2%)、玉名市1,083社(同3.0%)の順となっている。特に被害の大きかった益城町は576社(同1.6%)、南阿蘇村は215社(同0.6%)となっている。被害の少なかった企業も、九州自動車道の通行止めや九州新幹線の運休などで九州の大動脈が寸断されたことで、交通網の復旧まで影響を避けられない。長期化した場合は、熊本県内の企業だけでなく、九州全体に広がる可能性があるとしている。

 熊本県に本社を構える企業の売上高合計は9兆3,662億7,100万円だった。産業別でみると、サービス業他が3兆7,378億9,100万円(構成比39.9%)、製造業が1兆7,893億7,000万円(同19.1%)、卸売業が1兆2,778億4,300万円(同13.6%)の3業種はそれぞれ売上高1兆円を超えた。市町村別でみると、熊本市が売上高5兆665億500万円(構成比54.0%)、菊池郡菊陽町が5,778億9,600万円(同6.1%)、八代市が4,264億600万円(同4.5%)の順だった。

 熊本県に本社を構える企業のうち、従業員数が判明した企業2万485社の従業員数合計は33万346人だった。従業員数が最も多かったのは熊本市で17万1,244人。次いで、八代市1万7,685人、菊池郡菊陽町1万2,613人の順だった。

 3万5,173社の業種別構成は、総合工事業3,884社(構成比11.0%)が最も多く、次いでその他の小売業2,073社(同5.8%)、職別工事業1,871社(同5.3%)、医療業1,760社(同5.0%)の順だった。

 業種別で、地方公務(県や市区町村機関)を除くと、最も大きかったのは総合工事業の売上高5,768億5,186万円だった。次いで、電子部品・デバイス・電子回路製造業の同5,101億8,700万円、飲食料品卸売業同4,724億4,500万円、娯楽業同4,404億8,000万円、医療業同4,337億9,700万円だった。

 熊本地震により、直接的な被災を受けた企業もあるほか、交通網の乱れなどからサプライチェーンに支障が生じ、自動車や半導体など工場の本格稼働に時間が要する可能性も出てきた。これからゴールデンウィークを迎え、インバウンド需要が見込めた観光業への影響も懸念される。余震が収まり、交通網をはじめとしたライフラインの復旧が急がれる。今回被災した企業だけでなく、サプライチェーンの問題で今後の業績に影響が出てくるであろう企業も含めた、総合的な支援策が求められるとしている。(編集担当:慶尾六郎)