通信4社、成長源は通信の外にも AI・データセンター・金融が拡大

2026年08月20日 13:36

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通信各社は通信事業を基盤に、AIやデータセンター、金融などへ成長領域を広げている(画像はイメージ)

今回のニュースのポイント

通信大手の決算では、主力の通信事業を基盤としながら、AIやデータセンター、海外IT、金融など非通信領域の成長が鮮明になりました。NTTの2026年度第1四半期、KDDIとソフトバンクの2027年3月期第1四半期はいずれも増収・営業増益。楽天グループも2026年12月期中間期で増収となり、営業損益は前年同期の赤字から504億円の黒字へ転換しました。NTTでは海外IT・データセンター、KDDIでは金融や法人向けAI、ソフトバンクでは法人DXなどが伸長。楽天Gではフィンテックの利益拡大とモバイル事業の赤字縮小が業績改善につながっています。

■ 通信3社が増収増益、楽天Gも営業黒字へ

 通信大手4社の最新決算が出そろいました。NTTの2026年度第1四半期(2026年4〜6月)、KDDIとソフトバンクの2027年3月期第1四半期(同)はいずれも増収・営業増益を達成。決算期が異なる楽天グループ(12月期)も2026年12月期中間期(2026年1〜6月)で営業黒字への転換を果たしました。

 各社の業績概要は以下の通りです。

・NTT(第1四半期):営業収益 3兆6,177億円(前年同期比10.9%増)、営業利益
4,251億円(同4.9%増)

・KDDI(第1四半期):売上高 1兆4,873億円(同5.1%増)、営業利益 3,142億円(同21.1%増)

・ソフトバンク(第1四半期):売上高 1兆8,147億円(同9.4%増)、営業利益 3,022億円(同4.0%増)

・楽天グループ(中間期):売上収益 1兆3,090億円(同12.9%増)、営業損益 504億円の黒字(前年同期は66億円の赤字)

 ソフトバンクは売上高で第1四半期としての過去最高を更新し、楽天グループも営業損益で約570億円の改善をみせました。

 各社の決算で共通しているのは、従来の通信サービスにとどまらず、AIやデータセンター、海外ITサービス、金融といった「非通信領域」の事業が新たな成長源となっている点です。

■ NTT・KDDI、データセンターやAIが成長領域に

 NTTとKDDIの2社では、データセンターやAIをはじめとする法人向けソリューションの拡大が目立ちます。

 NTTで最も力強い伸びをみせたのが「グローバル・ソリューション事業」です。海外でのITソリューションやデータセンター関連の需要拡大を取り込み、外部顧客向け営業収益は1兆2,270億円(前年同期は1兆544億円)、セグメント利益は635億円(同578億円)へ拡大しました。ドコモグループを中心とする「総合ICT事業」で堅固な国内通信基盤を維持しつつ、海外IT・データセンターを新たな成長領域として取り込む構図がみられます。

 KDDIも主力の通信基盤を担う「テレコムコア」が調整後営業利益2,107億円(前年同期比19.5%増)と着実に伸びました。その上で、成長率で存在感を示したのが法人向けの「ビジネスグロース」です。AIインテグレーションやサイバーセキュリティ、データセンター需要を捉え、売上高は1,651億円(同11.7%増)、調整後営業利益は184億円(同21.6%増)と高い伸びを記録しました。金融事業やローソンの持分法投資利益を含む「パーソナルグロース」も増収増益となり、非通信領域も業績拡大に寄与しました。

 NTT、KDDIともに通信基盤で安定した収益を稼ぎながら、データセンターや法人向けIT・AIを新たな成長軸として取り込む姿が鮮明になっています。

■ ソフトバンクは法人DX伸長、AIインフラ投資も加速

 ソフトバンクは、コンシューマ、法人向け、メディア・EC、ファイナンスなど全報告セグメントで増収を達成しました。

 個人向けの「コンシューマ事業」は新料金プランの浸透等で売上高7,497億円(前年同期比4.4%増)を確保。一方、法人向けの「エンタープライズ事業」はデジタルトランスフォーメーション(DX)需要を取り込み、同11.4%増と2桁成長を記録しました。PayPayなどを擁するファイナンス事業も増収となりました。

 同社は中期経営計画「Activate AI for Society」の下、AI普及に伴うデータ処理需要や電力需要の増大を見越し、AIデータセンターやAI計算基盤への投資を推進しています。足元では法人向けDXなどが業績を支えつつ、将来の収益化に向けて次世代インフラ投資を加速させている段階といえます。

■ 楽天G、フィンテックが稼ぎ頭 モバイル赤字も縮小

 楽天グループでは、他の3社とは異なる形で収益改善が進んでいます。

 営業黒字化の最大の牽引役となったのが「フィンテックセグメント」です。売上収益は5,707億円(前年同期比25.1%増)、セグメント利益(Non-GAAPベース)は1,277億円(同46.9%増)と大幅な増収増益を計上。日本銀行の政策金利引き上げに伴う資金運用収益の拡大を受けた楽天銀行をはじめ、楽天カードや楽天証券、保険、決済などが総じて好調に推移しました。

 グループ業績の重荷となってきた「モバイルセグメント」も改善をみせています。売上収益は2,525億円(同13.3%増)へ伸び、セグメント損失は前年同期の884億円の赤字から710億円の赤字へと、約174億円赤字幅を縮小しました。

 フィンテックの利益が拡大したことと、モバイル事業の損失縮小が両輪となり、税引前中間利益および中間利益(254億円)は2019年中間期以来7年ぶりの黒字化を達成しました。ただし、非支配持分を差し引いた親会社の所有者に帰属する中間損益には109億円の赤字が残っており、同損益の黒字化には至っていません。

■ 通信を基盤に、成長源は「その外」へ

 今回の決算を通じて浮き彫りになったのは、通信各社が巨大な通信ネットワークという安定基盤を持ちながら、成長のベクトルを「通信の外」へ伸ばしている姿です。

 NTTの海外IT・データセンター、KDDIの金融・AI・セキュリティ、ソフトバンクの法人DXとAIインフラ、楽天Gのフィンテックとモバイル損失改善など、各社がそれぞれの強みを活かして非通信領域を切り拓いています。

 なお、通期業績予想については、NTT、KDDI、ソフトバンクの3社とも従来の数値を据え置きました。楽天グループも通期での各種利益黒字化を目指す従来方針を維持しています。

 NTT、KDDI、ソフトバンクは通信事業を収益基盤としながら、AIやデータセンター、金融などへ事業領域を広げています。楽天Gでもフィンテックの利益拡大とモバイル事業の損失縮小が進みました。今後は、生成AIの普及に伴う需要を各社がどこまで収益化できるかに加え、先行投資の回収や楽天Gのモバイル事業のさらなる損益改善が焦点となりそうです。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)