今回のニュースのポイント
水産庁が公表した最新の資源評価によると、トラフグ(日本海・東シナ海・瀬戸内海系群)の2025年漁期の漁獲量は122トンと過去最低を記録しました。一方で、産卵可能な親魚の量は目標管理基準値を上回る824トンと推定され、漁獲圧もMSYを実現する漁獲圧の代替値を下回っています。「親魚は一定量いるのに次世代(0歳魚)が増えない」という特徴的な構造が浮かび上がっています。研究機関では、親魚が瀬戸内海などの産卵場へ戻らなくなっている可能性などを一因として挙げています。なお、伊勢・三河湾系群では資源の回復傾向がみられます。
■ トラフグ漁獲量122トン、過去最低に
水産庁は21日、2026年度(2025年漁期等)のトラフグにおける最新の資源評価結果を公表しました。
評価結果によると、主要系群である「日本海・東シナ海・瀬戸内海系群」の2025年漁期(2025年4月〜2026年3月)における漁獲量は前年からさらに減少し、122トンとなりました。2002年漁期には363トンあった漁獲量は長期的な減少傾向が続いており、今回の122トンは過去最低の数字となります。
全体的な資源量(魚群の総重量)も、2020年漁期の1,385トンをピークに減少傾向へ転じ、2025年漁期は989トンまで低下しました。しかし今回の評価では、親魚量や漁獲圧だけでは説明しきれない複雑な現象が起きていることが分かります。
■ 0歳魚わずか4.3万尾、こちらも過去最低
最大の問題となっているのが「加入量」、すなわち新たに群れへ加わる0歳魚の資源尾数の激減です。
同系群における0歳魚の加入量は、2005年漁期の82.2万尾をピークに著しく減少し、2025年漁期には過去最低の4.3万尾まで落ち込みました。このうち人工種苗の放流分を除いた「天然由来」の0歳魚に限ると、2005年漁期の75.6万尾から、2025年漁期はわずか2.7万尾にまで減少しています。
漁獲される魚の年齢構成を見ても、2025年漁期は0〜3歳の若い魚の漁獲尾数が過去最低となった一方、4歳以上の大型魚は例年通り一定量が漁獲され、全漁獲尾数の51%を占めました。若い世代の補給が極めて乏しい状態が続いています。
■ 「親フグ」はいる 親魚量824トン
しかし、その一方で「子どもを産む親フグ(親魚)」そのものが不足しているわけではありません。
2025年漁期における同系群の親魚量は824トンと推定されています。これは資源管理上の目標管理基準値(577トン)を上回り、約1.43倍の水準となっています。さらに、漁獲の強さを示す「漁獲圧」についても2016年漁期以降、最大持続生産量(MSY)を実現する代替値を下回っており、2025年漁期は0.65倍と抑えられた水準にあります。
つまり、「親魚は一定量おり、漁獲圧も抑えられているのに、なぜか子どもが増えない」という状況が生じています。研究機関ではこの一因として、成熟した親魚であるにもかかわらず、瀬戸内海を中心とする従来の産卵場へ戻らない親魚が増えることによって、産み出される子どもの数が減少した可能性などが考えられています。
■ 一方、伊勢・三河湾では資源が回復
一方で、日本周辺のトラフグ全体が一様に減少しているわけではありません。別の系群である「伊勢・三河湾系群」では良好な回復傾向が確認されています。
伊勢・三河湾系群の漁獲量は、2021年漁期に50トンまで落ち込んだもののその後増加に転じ、2025年漁期には167トンとなりました。資源量も2020年漁期の156トンから増加し、2025年漁期には687トンに達しています。親魚量も104トンと目標管理基準値(84トン)を上回っており、地域や系群によって資源動向には明らかな違いが生じています。
■ 放流と漁獲管理、それでも回復には時間
日本海・東シナ海・瀬戸内海系群では、1977年以降継続して人工種苗の放流事業が行われてきました。
今後も種苗放流を継続し、一定の漁獲管理規則を適用した場合の将来予測では、平均漁獲量および平均親魚量はいったん低下するものの、漁獲量は2030年漁期以降、親魚量は2032年漁期以降にそれぞれ増加傾向へ転じると試算されています。
親魚を残し漁獲圧を適切にコントロールするだけでは、必ずしも次世代の増加に直結しないという資源管理の難しさを今回の評価は示しています。高級食材として知られるトラフグ資源を未来へつなぐため、親魚の産卵場への回帰や加入量の推移を含めた継続的な資源把握が引き続き重要となりそうです。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













